演歌歌手の神野美伽が野外型音楽フェス、オハラブレイクに出演。 ロック界のレジェンドの誕生日を祝う。
演歌歌手の神野美伽が9日、福島県・猪苗代湖畔天神浜オートキャンプ場にて10月8日から3日間に渡り行われている、<オハラ☆ブレイク’22秋>に出演した。
オハラブレイクは2015年から同キャンプ場にて、音楽や芸術、食など様々なジャンルで活躍する表現者が出演し、スローライフを大切にした「大人の文化祭」として開催されている。
この日は、ロック界のレジェンドとして若い世代のミュージシャンからもリスペクトされる、仲井戸”CHABO”麗市の72歳の誕生日で、<祝!72 仲井戸”CHABO”麗市 湖畔の誕生会>と銘打たれたプログラムが開催され、奥田民生、BEGIN、のん、曽我部恵一ほか、豪華なミュージシャンが集結した。
会場に到着した神野は、「2年前と大きく違うのは、お客さんがいるところ。2年前はやっぱりすごく淋しかった。」と語った。
「歌姫をお呼びします。神野美伽さん!」の声でTHE COLLECTORSのギタリスト古市コータローとHEATWAVEのギター・ボーカル山口洋の待つステージに登場すると、薄曇りで弱い日差しが差し込む中、猪苗代湖をバックに、神野のオリジナル曲「人生夜汽車」を歌唱。「ここに帰って来れたことに感動してます!」と笑顔で話した。ギター2本とボーカルというシンプルな編成が、曲の持つ悲哀と神野の繊細ながらも力強い歌声を際立たせる。古市とはこれまでにオハラブレイクのほかアラバキロックフェスなどでも共演し、何度もジャンルの壁を飛び越えコラボレーションをしてきただけに、息のあったステージングを見せた。
続いてCHABOの楽曲「やせっぽちのブルース」では、疾走する粗刻みなビートに乗った神野ならではのロックを力強く見せつけ、レジェンドの誕生日に花を添えた。2020年、頸椎の手術後の辛い時に何度も聴いて“起きろ、起きろ”という歌詞の部分に「絶対に立ち上がってやる」と奮起させられた曲でもある。CHABOと神野の出会いは、2017年に大阪・梅田のクラブクアトロ(ライブハウス)で、麗蘭の対バンとして神野と古市、The Birthdayのクハラカズユキとのバンドで出演した際に、CHABOが「なんでコータローが演歌の人とやるんだろうと思ってたけど、ライブを見て分かった。彼女(神野)はアレサ・フランクリンだ。」と話し、神野も「私もCHABOさんの人柄に惚れた一人」と語った。
そしてラストには、ソウル・フラワー・ユニオンの中川敬と山口の共作、「満月の夕(ゆうべ)」を山口とのツインボーカルでセッションした。この曲は1995年の阪神・淡路大震災の惨状、復興への厳しい現実やそれに向き合う人々の姿が描かれた楽曲だ。福島県もまた、2011年の東日本大震災では計り知れないダメージを負い、今も復興の途上にある。会場には祈りのようにも聞こえる“ヤサホーヤ”のハーモニーがどこかもの悲しく、しかし力強いエールのように響き渡った。
3曲のみの、あっという間に駆け抜けたステージであったが、エネルギーと熱量が凝縮されたパフォーマンスは鮮烈な印象を残して幕を閉じた。
神野美伽は11月25日に東京・コットンクラブでの公演も決定、来年にはデビュー40周年を迎える。