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Sou 4thアルバム『センス・オブ・ワンダー』全曲レビュー、豪華クリエイターの個性が爆発した珠玉の12曲

センスオブワンダー

年々存在感を増すインターネット発の音楽たち。歌い手やボーカロイドといった一大ムーブメントは最早日常となり、クリエイターやボーカリストの個性と才能にあふれたネット発の楽曲は様々なシーンでバズり、現在もヒットチャートを賑わせている。

そんなインターネットの片隅で2013年から活動を始め、中性的な歌声と確かな歌唱力で多くのリスナーを惹きつけてきたのが、ボーカリストであり歌い手のSouだ。2015年からメジャーシーンでも活動してきたSouは、2020年にリリースされたナナヲアカリとのデュエット曲「チューリングラブ」の大ヒットに留まらず、YouTubeやTikTokなど様々なSNS媒体を軸に精力的に活動。着実にファンを増やしている。

そんなSouの2年ぶりとなる4thアルバム「センス・オブ・ワンダー」が7月17日に発売された。これまでと同様、今作も様々なアーティストが楽曲に参加しており、稲葉曇、原口沙輔、いよわ、Neru、柊キライ、higma、ナユタン星人といった歌い手と親和性の高いボカロ出身のクリエイターに加えて、三原康司(フレデリック)、ポルカドットスティングレイ、mol-74といった邦ロックの第一線で活躍する面々もクレジットに並んだ豪華な一枚となっている。

今作でSouはアーティストとして、ボーカリストとしてどのように楽曲を歌いこなしたのか。ここからはクリエイター陣の個性が爆発したアルバム全12曲のレビューをお届けしていこう。

M1「KOHAKU」
言葉だけでは表せない寂寥感やノスタルジーをアップテンポに歌った1曲は、「ラグトレイン」「リレイアウター」でお馴染みのボカロP・稲葉曇が提供した中毒性の高さが特徴的だ。不協和音にならないギリギリのラインを突いたマイナー調のメロディにもかかわらず、爽快感や浮遊感すら感じられるのは不思議な感覚である。そんな独特な楽曲にしっかりと馴染むSouの歌声も聴いていて非常に心地がいい。

M2「COSMIC BEAT」
フレデリックの三原康司節が光る、思わず身体が動いてしまうようなダンスビートはもちろん、キャッチーという言葉では足りない、耳に刻みつけるようなサイケデリックなサウンドが印象的。宇宙や天体にまつわる用語をテンポよく散りばめたオシャレな歌詞、無重力空間で漂っているようなBメロの浮遊感など、アルバムの中で最も宇宙を感じられる楽曲となっている。ファンと一緒に歌える「Wow Wow」パートを含め、ライブで盛り上がること間違いなし。

M3「世界を射抜いて」

「ロストワンの号哭」「脱法ロック」など数々のヒット曲を手掛けるNeruが提供した、疾走感に満ちたギターロック。一度挫折した人間が前を向き這い上がる、そんな強い決意が伝わる熱い歌詞と、Souの必死さすら感じる歌声がとにかく耳に残ることだろう。特にサビの後半でギアをさらに一段上げるように高くなる転調部分はとりわけ鮮烈。常人には歌えないような高音域が綺麗に、それでいてパワフルに張り上げられる声に驚嘆を覚えた人も多いはず。Souのボーカリストとしての技術の高さが表れた1曲だ。

M4「WHAT」
耳馴染みの良いキャッチーなメロディが特徴的なロックバンド・ポルカドットスティングレイが手掛ける尖りに尖ったギターロックは、指板を縦横無尽に駆け巡るようなギターフレーズが印象的だ。また、「(この楽曲は)Souを解剖するアンセム」と公式コメントで表明しているように、Souのボーカル表現の豊かさ、ハイトーンに代表される技術の高さを深掘りするようなポイントも満載。ラストで一人称が「僕」から「俺」に変わるあたりでボーカルニュアンスが漢らしく変化する部分には、言葉が持つ力を改めて思い知らされる。

M5「ネロ」

TVアニメ『デッドマウント・デスプレイ』のダークな雰囲気を的確に表現した、ボカロP・柊キライ提供の1曲。不穏なAメロ・Bメロを経て、サビで一気に弾ける疾走感にあふれたパワフルなSouの歌声にはただただ圧倒されることだろう。目まぐるしく変化し、どこに着地するのかわからない2番以降の怒涛の展開は、群像劇形式で敵と味方が入り乱れる作品の世界観を表しているかのように複雑だ。主人公の名前「ポルカ」の要素を1番と2番の間奏に入れ込むなど遊び心も面白い。

M6「月夜のタクト」

重低音が響くヘヴィなサウンドと軽快なピアノサウンドの組み合わせが印象的な、音楽クリエイターギルドバンド・月蝕會議が提供したアグレッシブなロックナンバー。次の一音の予測を外すような意外性のある楽曲展開、急激に高音が飛び出すアップダウンが激しいボーカルレンジなど、この曲は最初から最後までSouのボーカリストとしての実力を試すかのようなポイントが満載。そんな難関をものともせずサラリと歌いこなす彼の姿をとくとご覧あれ。

M7「センス・オブ・ワンダー」

本作唯一となるSou自身による作詞・作曲楽曲は、丸みを帯びた優しげな雰囲気が楽曲全体から漂うミディアムテンポなナンバー。電子の海をたゆたうような心地よいサウンドと、エフェクトやリバーブのかかったSouの柔らかくも切ない歌声の組み合わせは、タイトル通り「センス・オブ・ワンダー」=「ある種の不思議な感動」を覚えるはず。一方で、一歩間違えれば単調になってしまいそうなゆったりとした雰囲気を突如刺激するラスサビ前の間奏の攻めたアレンジなど、聴く人を飽きさせない工夫も要所で表れている。

M8「リダイレクト」

「人マニア」「イガク」といったユニークな楽曲でボカロ業界を席巻し続けている原口沙輔。そんな彼が手掛けたポップソングは、一聴しただけでは全容を掴めない、音楽IQの高さが随所で感じられる1曲だ。ノイズ混じりの低音エフェクトを前面に押し出した記名性の高いアレンジ、インターネットの音楽に対する距離感を独特な視点で練り上げた歌詞、Souのボーカルの可能性を引き立たせるメロディラインなど、アルバム収録曲の中でも一際個性が輝いている。

M9「ハイヒール」

変調や不協和音すら駆使して聴く人の感情を揺さぶる、ボカロP・いよわの特徴が最初から最後まで顕著に表れた中毒性の高い1曲。特に何度も転調していく後半部分はカタルシスすら感じるほどで、3分22秒という短い時間ながら聴いた後の満足度はダントツに高いはずだ。妖艶さすら感じるダークで意味深な歌詞やアバンギャルドなサウンドは、オシャレでカッコいいSouの新たな一面を引き出したと言っていいだろう。

M10「ことばのこり」

ロックバンド・mol-74によるシンプルにまとまった美しいメロディと幻想的なサウンドが、これほどまでにSouの歌声と親和性が高いとは。今は隣にいない“君”の声に背中を押された“僕”の心情について繊細に描写した歌詞は、想像の余地を残しながらも心情の輪郭がくっきりと浮かび上がる絶妙な言葉が並んでいる。エモさという一言で表すにはもったいない、感情の機微の数々を浴びてみてはいかが?

M11「バブル」

歌い手、ボカロP、絵師といった面々でチームを組み、1つの作品を完成させる企画「ボカデュオ」から生まれた今作は、泡のように消えていく時間の儚さを表現した切ないポップチューンだ。イントロとアウトロで聴こえる波の音、跳ねるように弾けるポップなサウンド、歌声が多数の泡に変わったかのようなサビのウェットなボーカルエフェクト、立ち消えてしまいそうなラスサビ前のポエトリーパートなど、様々な角度から「バブル」というテーマが表現されている。“水”にまつわる楽曲が多いSouのラインナップにまた1つ新たな名曲が加わった。

M12「衛星紀行」

「人生とは出会いと別れの繰り返し。だからこそ出逢えた今日を大切にして次の再会を願おう」という、普段は意識することを忘れがちなことをメッセージに掲げた本楽曲は、旧知の仲であり、ソロとしては約7年ぶりとなるナユタン星人との再タッグという背景を知ると、また一つこの楽曲のエモさが増すはず。ナユタン星人の中毒性の高いサウンドとSouの軽やかな歌声の相性の良さは、月日が経っても抜群だ。ライブのラストにファンとともに笑顔でシンガロングする情景も思い浮かぶ。まさにアルバムラストを飾るに相応しい1曲だ。

アルバム全曲を振り返ってみると、ジャンルも世界観も良い意味でバラバラ。そんな多様な楽曲をサラリと歌いのける Souのボーカリストとしての実力の高さに改めて唸らされるとともに、一方で裏を返せば「Souならどんな楽曲でも歌えるはず」と判断してクリエイター陣が惜しみなくアイディアを注ぎ込んだ結果とも言える。その視点で言えば、クリエイターの才能や実力を存分に引き出すことができるボーカリストという意味で、Souは貴重な存在と言えるのかもしれない。

8月からはこのアルバムを引っ提げ、自身最大キャパシティとなるパシフィコ横浜 国立大ホールの公演を含む全国4都市と広州・上海のアジア2箇所でライブツアーを敢行予定。活動11年目を迎えてもまだまだ進化が止まらないSouの姿をその目でしかと目に焼き付けてもらいたい。

Information

4th Album『センス・オブ・ワンダー』
発売日:7月17日(水)
特設サイト:https://king-cr.jp/sou_senseofwonder/
buy:http://lnk.to/sou-sense_of_wonder
listen:https://lnk.to/sou-senseofwonder

センス・オブ・ワンダー初回Aジャケット
初回限定盤A [CD + Blu-ray + アクリルスタンドA]
品番:KICS-94154
価格:¥5,200(税込)
CD:全12曲(全タイプ共通)
Blu-ray
Music Video収録(Sou副音声付き)
・「月夜のタクト」
・「ネロ」
・「バブル」
・「ハイヒール」
・「世界を射抜いて」
・「ことばのこり」
・「衛星紀行」

付属:アクリルスタンドA

センス・オブ・ワンダー初回Bジャケット
初回限定盤B [CD + LIVE CD + アクリルスタンドB]
品番:KICS-94155
価格:¥5,200(税込)
CD:全12曲(全タイプ共通)
LIVE CD
Sou LIVE 2023「Orbit」(2023/10/13)
「ラヴィ」
「One Last Kiss」
「ネロ」
「ハイヒール」
「世界寿命と最後の一日」
「星の王子サマ」

Sou LIVE 2024「inside」(2024/1/19)
「KICK BACK」
「バブル」

付属:アクリルスタンドB

センス・オブ・ワンダー通常盤ジャケット
通常盤 [CD]
品番:KICS-4156
価格:¥3,300(税込)
CD:全12曲(全タイプ共通)+ボーナストラックとして歌ってみた1曲収録

ボーナストラック:「プラネテス」
作詞・作曲・ギター:seiza 編曲:ササノマリイ
Original Artist:seiza

コンプリートセット
品番:ECB-1706
価格:¥16,500(税込)
初回限定盤A・初回限定盤B・通常盤の3形態セット
手乗りぬいぐるみ(サイズ:約15cm程度)
Sou直筆サイン入り三方背ケース
※キンクリ堂限定・数量限定での販売
buy:https://kinkurido.jp/shop/g/gECB-1706/


Sou-LIVETOUR2024
Sou LIVE TOUR 2024「センス・オブ・ワンダー」
大阪
日時:8月8日(木)17:30開場/18:30開演
会場:Zepp Namba(OSAKA)
チケット:
1Fスタンディング 6,500円(税込)※整理番号付き
2F指定席 7,000円(税込)
※入場時に別途ドリンク

福岡
日時:8月10日(土)16:00開場/17:00開演
会場:Zepp Fukuoka
チケット:
1Fスタンディング 6,500円(税込)※整理番号付き
2F指定席 7,000円(税込)
※入場時に別途ドリンク

愛知
日時:2024年8月15日(木)17:30開場/18:30開演
会場:Zepp Nagoya
チケット:
1Fスタンディング 6,500円(税込)※整理番号付き
2F指定席 7,000円(税込)
※入場時に別途ドリンク

神奈川
日時:2024年9月22日(日)16:00開場/17:00開演
会場:パシフィコ横浜 国立大ホール
チケット:7,500円(全席指定・税込)

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