ももクロ・玉井詩織がソロライブ【Billboard Live Tour 2024】を開催 / ギターやピアノも披露し、多彩なパフォーマンスで2024年ソロアーティスト玉井詩織の集大成に
ももいろクローバーZの玉井詩織が11月26日(火)に横浜、28日 (木)に大阪でソロライブ【玉井詩織 Billboard Live Tour 2024】を開催した。ももクロメンバーがBillboard Liveでライブを行うのは初めてのこと。2日間全4公演のうち、今回はBillboard Live YOKOHAMA公演の2nd Stageの模様をレポートする。
今年3月にキャリア初となる『玉井詩織ソロコンサート「いろいろ」』を開催した玉井は、今年1年間、各地の音楽フェスやライブイベントにソロアーティストとして精力的に参加。バラエティやドラマ、ラジオ、モデルなどの活動のほか、サッカー中継のスタジオゲストなどにも挑戦し、まさに“いろいろ”な顔を見せた1年だった。そんな玉井のまた新たな挑戦となったのが今回のBillboard Live公演だ。
Billboard Liveでは通常1日2ステージで行われており、2nd Stageは20時30分からスタート。思い思いの食事やお酒を楽しみながらライブを楽しむことができるのもBillboard Liveの魅力であり、また圧倒的な近さもあって、非日常感を感じられる特別な音楽空間となっている。
今回のバンドはピアノ、ギター、ドラム、コーラス、そして、チェロという普段のももクロではなかなか見られない珍しい編成に。Billboard Liveということで、ステージ上にはグランドピアノが存在感を示している。5人のバンドメンバーが登場し、演奏がスタートすると、青いワンピースの衣装にジャケット姿の玉井が登場。ステージ中央のハイチェアに腰かけると、「Another World」の玉井の歌声からライブはスタート。その後のイントロで「Billboard Liveへようこそ!最後まで楽しんでいきましょう」との呼びかけに自然とクラップが生まれ、始まるまでは緊張感が漂っていたモノノフからも徐々にその緊張がほどけていくのが感じられた。続いて、ドラムのカウントからスタートしたのは「暁」。照明が赤く照らされる中、玉井のハイトーンが映える。そして、時が一瞬止まったかのような落ちサビからラストに向けてエモーショナルに展開すると、会場からは歓声と拍手が沸き起こった。
ここで最初のMCパートへ。「自分がBillboard Liveで歌う日が来るとは思わなかった。16年やってきてもまだまだ新しいことに挑戦できることが本当に嬉しい」とその喜びを語ると、Billboard Liveの雰囲気にもってこいの1曲だというももクロの「Yum-Yum!」を披露。軽快なピアノのイントロに乗って、玉井も立ち上がりステージ上を動きながら歌っていく。続いて、イントロのコーラスにモノノフのクラップが加わり、全編英語詞の「Spicy Girl」へ。サビでミラーボールが回ると会場は一気に多幸感に包まれていく。そして、「We Stand Alone」。サビでの<パン!パン!>というクラップは、もうモノノフにはおなじみ。会場全体のクラップが揃うことで、気持ちいいほどに一体感が生まれる楽曲なのだが、特にサビ前の「♪We Stand Alone」という玉井の伸びやかなヴォーカルから展開されるラストのサビでは、この上ない一体感が生まれていた。このブロックの3曲は、まさに前半のハイライトだったと言ってもいいだろう。
そして、バンドメンバーを紹介した後、アコースティックギターを手に取ると、玉井のカウントから「Sepia」へ。今年行われた『玉井詩織ソロコンサート「いろいろ」』では、ピアノを弾きながら歌ったこの曲を今回はアコギで披露。玉井のアルペジオとチェロの音色が美しく響き渡る中、玉井の優しい歌声がすっと胸に入ってくる。そして、ももクロ楽曲「月色Chainon」へ。ドラムとチェロに乗せて歌い出す特別なアレンジの歌い出しで心を掴むと、サビでは月色(黄色)の照明に照らされるという演出も。この曲は特にBillboard Liveに似合っていたと感じたモノノフも多かったのではないだろうか。
今回のBillboard Live限定のオフィシャルグッズを紹介するMCパートを挟み、次のブロックもももクロ楽曲「L.O.V.E」からスタート。この季節に、そして、この会場に特に映えるナンバーだ。そして、再びアコギを手にすると「HAPPY-END」を披露。『玉井詩織ソロコンサート「いろいろ」』では、オープニングでエレキギターを抱えて歌った姿が印象的だったが、今回はロックなこの楽曲をまた違ったアプローチで披露し、曲の新たな魅力を引き出した。
最後のMCパートで、「私の人生に素敵な1ページが書き込まれました」と感謝の気持ちを伝えると、玉井にとって最初のソロ曲「…愛ですか?」をアコギを弾きながら披露。そして、チェロとコーラス以外のバンドメンバーがステージを降り、チェロの演奏が静かに始まると玉井はグランドピアノへと移動。玉井がピアノを弾きながら歌った最後の1曲は、ももクロの冬の名曲「空のカーテン」だ。最小限の照明のみで照らされる中、チェロとピアノの音色、そして、玉井の歌声だけが会場に鳴り響く。まさに、冬の凛と張りつめた空気を表現したかのような演奏に。モノノフが息を飲んで見守る中、2番からコーラスが加わり温かみが増していったところで、玉井のピアノと声のみの落ちサビへ。そこからミラーボールが回ると一気に雪のような光景に包まれて、ライブは美しくフィナーレを迎えた。
そして、アンコールへと突入。本編が終わって、一気に緊張感から解放されたかのような玉井とモノノフ。ここで初めて、会場からは「しおりん!」と呼ぶ声が聞こえ、黄色のペンライトを振るモノノフの姿も見られるように。改めて、玉井から感謝の気持ちが伝えられると「皆さんの日常がより一層輝きますように…という思いも込めて、この曲を歌います」と語り、最後は再びアコギを弾きながら「日常」を披露。会場全体にはクラップで最後の一体感が生まれていく。「♪今日が特別な毎日になるように」という歌詞で締めくくると、この日一番の拍手と温かい空気に包まれながらライブはすべて終了。普段のももクロのライブとも、前回のソロコンサートともまた違ったBillboard Liveならではの特別感のあるライブとなった。
「Another World」で始まり「日常」で終わるという全12曲。まるで別世界のような非日常空間の中でライブがスタートして、最後にはそれぞれの日常へと戻っていくというストーリーに。しかも、その日常がより良きものでありますようにという願い、日常に戻ってもこのライブのことを忘れないでほしいという思いも込められたとても玉井らしいセットリストだったのではないだろうか。
最初は緊張を口にしていた玉井だったが、終始楽しそうに歌う姿がとても印象的だった。今年1年間、1人で“いろいろ”なステージに立ち、“いろいろ”な現場を経験して吸収してきたことを凝縮したようなソロアーティスト玉井詩織の魅力が詰まった2024年の集大成的なステージ。改めて、玉井の声の力や深みを増した表現力が感じられるような、多彩な色を見せてくれた大人なライブでもあった。
そんなソロアーティストとしての玉井詩織の今年の活躍と成長は、ももクロにとってもまた新たな彩りとなることだろう。今年も残すところあと1か月。残るライブは、恒例の「ももいろクリスマス」と「ももいろ歌合戦」のみ。玉井のみならず、メンバーそれぞれが新たな挑戦を続けてきたももクロの2024年の集大成を是非見届けてほしい。
Photo by 笹森健一
SETLIST (YOKOHAMA公演&OSAKA公演共通)
M1. Another World
M2. 暁
M3. Yum-Yum!
M4. Spicy Girl
M5. We Stand Alone
M6. Sepia
M7. 月色Chainon
M8. L.O.V.E
M9. HAPPY-END
M10. …愛ですか?
M11. 空のカーテン
<ENCORE>
M12. 日常
■音楽配信はこちら:https://playlist.kingrecords.co.jp/?post_type=playlist&p=1969