Mardelas 初のベストアルバム発売決定!

Mardelas 10周年ライブ "Explosion Into The Next Decade"

蛇石マリナ率いるヘヴィ・メタル・バンド、Mardelasが初のベストアルバム『Brand New Best 2025』を10月8日(水)にリリースすることを発表した。

Mardelas10周年ライブ “Explosion Into The Next Decade”ライブレポート

Mardelas 10周年ライブ "Explosion Into The Next Decade"

ゴールデンウィークも中盤に差し掛かった4⽉29⽇、Mardelasがデビュー10周年のワンマンライブ “Explosion Into The Next Decade” を東京・SHIBUYA CLUB QUATTROにて開催した。バンドが10年続くというのは、実はかなり大変なこと。特にこの10年間といえばコロナ禍もあったし、Mardelasはメンバーチェンジも経験した。いくつものことを乗り越え、晴れて迎えた10周年。この日のライブは、これまでで一番バンドとしての一体感にあふれ、メンバー全員の笑顔が輝いていた。

定刻を少し過ぎた頃、マリナによる日本語と英語の影アナが流れる。来場したファンへの感謝を述べた後、この日は1曲のみスマホ撮影OKという案内もあり、ファンから歓声があがる。ストリングスの荘厳なSEが勇壮なSEへと変わり、赤い照明の中メンバーが一人ずつ登場。ライブへの期待感が急速に上がっていく。

オープニング曲は「Last Round Survivor 」。お立ち台の上から真っ直ぐこちらを見据えて歌うマリナ。一点の迷いもない表情が、現在のバンドの充実度合いを予感させる。彼女の「行けるか、渋谷!」という煽りに観客も瞬時にリアクション。後半の展開部では観客も手拍子で演奏に参加するというライブならではの醍醐味も。精悍な顔つきの本石による雄叫びもパワフルだ。「さあ、飛ばしていこうか渋谷!」の台詞でスタートした「Apocalypse」は、2バスのリズムが疾走感を牽引するメタル曲。Aメロには少し拍をずらすキメがあるのだが、観客はもちろん曲を熟知していてその2拍もぴったり拳を挙げる精鋭揃い。間奏前の間合いでは、樹京はギターを低く構え、本石はベースを高く掲げ、同時にMAKIはドラム椅子から立ち上がる。そういう阿吽の構図も絵になっていて実にドラマティックだ。続く「Cleopatra」でも、弦2人が観客を迎え撃つかのようにネックをフロアに向ける中、マリナが不敵な笑みを浮かべつつ指先を観客に伸ばす姿があまりに挑発的で、3人のフォーメーションの巧みさにゾクゾクした。

Mardelas 10周年ライブ "Explosion Into The Next Decade"

メジャー10周年ライブへようこそ。10年ぶんの思いを込めて。やってやるぜ!」というマリナの宣戦布告からの3曲は、飛び道具もフィーチャーしたキャラの立った楽曲たち。「Force & Justice」では、本石が音数の多い歌心あふれるベースのフレーズで耳を奪う。間奏はおなじみのレーザーガンを使ったギターソロ。こういうトリッキーな遊びもMardelasの引き出しのひとつだ。一方「G-Metal では、マリナがこれまたおなじみとなった拡声器を手にお立ち台へ。腰に手をあて歌う彼女は堂々たる存在感で、なんだかやけにカッコいい。「千⽻鶴 -Thousand Cranes-」では、泣き泣きのメロディアスなイントロでリスナーの琴線をわしづかみ。間奏は緩急豊かかつ変化の多い構成で、ギターソロの魅力が全て詰まっているような完成度の高さ。連続で繰り出されるスウィープにはギターキッズも釘付けだろう。

10周年の実感あまりないんじゃないかって気がしてたんですけど、今日が一番楽しい」との言葉に続けて、マリナがバンドの始まりを振り返る。「私のソロプロジェクトみたいな感じでヌルッと始まったMardelasですが、2015年の1stアルバムリリース時にバンドとして活動していきたいと表明して、そこから10年。後日、キングレコードの齋藤D(ディレクター)から“この曲を聴いてメジャーデビューさせようと決めた”と聞いた曲があって、自分では意外に感じたけど、周年記念で久々にやります」と、1stアルバム収録の「DEEP-G」を紹介。本石も「俺は演るの2回目やで。ほぼ新曲」と情報を追加。確かに、久しぶりにライブで聴く「DEEP-G」は、Mardelasにあまりないアメリカン寄りの軽快なロックチューン。樹京はブルーグレーのボディに白ピックガードのストラトタイプ6弦ギターを手に(変形ギターの印象が強い彼だけに、見た目も新鮮)、抜けの良い伸びやかなフレーズを奏でる。キャッチーな歌メロも印象的だ。

Mardelas 10周年ライブ "Explosion Into The Next Decade"

続く2曲はMardelasのダンサブルな側面を。シャッフルのリズムで華やかに聴かせる「Raccoon Party」では、ステージが七色のライトとミラーボールの光に彩られ、雰囲気は煌びやかなパーティー会場に一変。また、ワウギターのカッティングで始まる「On The Lam」は、“食う”リズムと16のノリがクールなファンクチューン。80年代、R&B系のレコーディングにS・ルカサーやE・ヴァン・ヘイレンが参加していたのを彷彿させる、“ロックギタリストが弾くファンク曲のソロ”という趣きの、エッジが効いたギターソロ。アウトロで聴かせたマリナのフェイクも圧巻の迫力だった。

Mardelasの得意とする、情念系ミディアム「蛇に牡丹 -snake & peony-」も流石の完成度。ちょっとした場末感のある赤紫の照明が引き立てる凄みのあるボーカルと、そこへ裏メロ的に絡むベースのメロディーが素晴らしいコンビネーションだ。ギターソロ→ベースソロ→ドラムソロへとなだれ込む流れも見事。特にドラムは、2バスも駆使した手数王的ソロで、背後頭上にセットされたチャイナシンバルをノールックで叩く技術には感嘆させられた。

Mardelas 10周年ライブ "Explosion Into The Next Decade"

1st〜3rdアルバムからの曲で構成された前半10曲を終え、MCで「いろんな曲作ってきたなって改めて思いました。今に続く作品だし、大事な作品です」とマリナ。そして2017年の本石加入の話題へ。「3rdは自分にとって初のメジャー作品だし、やっぱり思い入れがある。こんな俺でもプレッシャーがあったんですよ、元ナントカって肩書きもないし、売り上げ減っちゃったら…とか思って。でもBURRN!誌のレビュー点数は1st、2ndより高かった」と本石が本音モードで語ると、「それまでは基本2人で曲を作ってきたけど、もっさんが作ってきた曲が新しい風を吹き込んでくれた。幅が広がったなって」とマリナが次に演奏する「Spider Thread」を紹介した。

7弦ギターと5弦ベースのヘヴィなリフで始まる「Spider Thread」は、変拍子といい、複雑な曲構成といい、プログレッシブな感触の楽曲。重苦しいA・Bメロから、スカーンと抜けるサビへのコントラストが斬新だし、そんな曲調に導かれてかギターソロもトリッキーなアプローチ。間奏時には、マリナが蜘蛛の糸をたぐり腕を天に伸ばすゼスチャーを見せるが、こんなシアトリカルな表現を呼び込んだのも、本石曲の新鮮味ゆえかもしれない。

曲のタイプは違えど、硬派という意味では「ICE-PICK」も負けていない。挑戦的な表情で英語のラップを畳みかけ、ギターソロ中も樹京に向き合い英語で喋り続けるマリナ。観客もジャンプでその熱量に応える。ライブで真価を発揮するこういう曲があるのも彼らの強み。

Mardelasの世界観を決定づけた「World vs Honor -仁義なき世界- 」のポテンシャルも半端ない。観客が手拍子で参加できる展開部、シンガロングが起こるほどキャッチーなサビ、メタルらしいカタルシスを味わえるエネルギーなど、隙なく練られた楽曲。アウトロではマリナが体勢を低く落として激しいヘドバンを披露。“そう言えば、2018年のライブでは、本石が殺し屋、樹京がホスト、マリナが紫色の和服という衣装でこの曲を演奏していたなぁ…”なんてことを思い出していたら、演奏後のMCでマリナも「『World vs Honor〜』はMVが印象に残ってます。ドラマ仕立てのMV、また作りたい」と当時を振り返った。

Mardelas 10周年ライブ "Explosion Into The Next Decade"

同じくこれまでを振り返った樹京は「最近思うのが、10年経てば人は年をとります。今日も知ってる顔がいっぱい」と来場者へ感謝を伝え「一緒に年を取っていくっていうのは素晴らしい事だなと思いました。この先10年20年、一緒に年を取っていけたら…。今どきヘヴィメタルなんてコスパ悪い音楽じゃないですか、それでも何故やってるかっていったら…好きだからですよ、メタルもギターも!」と、飾らない言葉で一気に会場を沸かせた。

そんな樹京のメタル愛を体現するように、ここからはメタル曲の猛攻勢。「デビュー曲いきます。目を開け!」というマリナの台詞で始まったのは「Eclipse」。正統派ジャパメタとスラッシュメタルのハイブリッドとも言えるアグレッシブな楽曲であり、この日の撮影OK曲だったこともあって、会場のテンションは爆上がり。王道洋楽系メタル楽曲「Strike the Beast 」では、本石が開放弦フレーズ時に左手を観客に伸ばし、観客もすかさずメロイックサインで応酬。ピッキングハーモニクスから入る怒濤の速弾きギターソロといい、ラストのロングハイトーンシャウトといい、すべてがパーフェクトだ。

Mardelas 10周年ライブ "Explosion Into The Next Decade"

特に古参のファンにサプライズだったのが「Nostphilia 」。2016年のライブ会場販売シングル「Snake to revive」にも収録されていたが、初出はDESTROSE時代の楽曲。アッパーなメタルチューンだが、ふと気づくとBメロの途中からマリナが涙を堪えるように声を詰まらせていた。観客からの声援に気丈に応え、中盤からは無事復活。大きく上半身を仰け反らせながら、パワフルに最後まで歌いきった。(終演後、彼女に涙の理由を訊いたところ「歌いはじめた時に前方の観客が見えて、知ってる顔もたくさんいるんですよ。そしたら急に感情がこみ上げちゃって…」と話してくれた。やはり樹京と同じく、10年という月日を共に歩んできたTeam Mardelasへの思いがあふれ出たということのようだ)

Mardelas 10周年ライブ "Explosion Into The Next Decade"

時を刻む時計の音が響き、一呼吸置いてからスタートした「The Fox and The Grapes」は、メロディアスハードなメタル曲ながら、これも“食う”リズムがフックになっていて変化に富んだ演奏が味わい深い。シンセの神秘的なムードに導かれて始まった「String of Life」は、英語詞と日本語詞のミックスで歌われるミディアムスロー。言葉の一つ一つを噛みしめながら語りかける、マリナの気持ちの入った歌が胸に刺さる。アウトロでは凄まじい超ハイトーンで度肝を抜いた。

「各作品から1曲ずつは入るように選曲したんですが、最高な形のセトリができたんじゃないかな」とマリナ。そして、今年の秋に初のベスト盤(2枚組・22曲収録予定)をリリースする事を報告。「ライブで皆んなと一緒に育ててきた曲を一度形にしたかった」と彼女が述べると、樹京も「ベストを出せる(良い)曲を書いてきたんだなって改めて思いました。ほとんど新録で、アレンジも新しくなってます。その都度いつも本気でやってきたから、録り直すって新譜を出すより大変(笑)」と気合いをのぞかせた。

本編ラストはライブの定番2曲。「神風」のイントロでは観客が“オイ!オイ!”の歓声とともに拳を挙げる。突き抜けるサビの広がりと同時に、ライトがパーッとステージを明るく照らすシンクロ感。これをライブで体験するのは本当に爽快だ。その高揚感からさらなる高みに引き上げるように、マリナが「まだまだ終われないぜ、『Burn Out!』」と曲名を叫ぶと、間髪なしにクリーンなギターがイントロを奏でる。オーディエンスはAメロでは手拍子を続け、サビでは一斉に「バーンアウト!」と声を合わせ、ライブならではの一体感を味わい尽くして本編は幕を閉じた。

Mardelas 10周年ライブ "Explosion Into The Next Decade"

アンコール2曲も、マリナの「あとは激しい曲しかないからね、ついてきてください!」との言葉通り、完全燃焼へ向けて全身全霊を込めた演奏を。超高速2バスのドラムが驚異的な「Link」では、樹京と本石がステージ左右でヘドバンしている真ん中で、マリナが力強く腕を振り上げる。もう体力のペース配分なんか考えなくてもいいと言わんばかりのキレッキレなパフォーマンスだ。オーラス曲「Daybreak」では、メンバー同士の距離感の近さ、信頼感が垣間見えた。マリナと樹京が笑顔で互いを見ながら演奏する場面があったり、ベースソロからギターソロへと繋ぐ時に樹京が本石の肩にもたれたり、バンドの絆みたいなものがメンバーの音からも表情からも伝わってきた。

Mardelas 10周年ライブ "Explosion Into The Next Decade"Mardelas 10周年ライブ "Explosion Into The Next Decade"

アンコール含め全22曲。すべての演奏が終わった時のメンバーの晴れやかな笑顔が、この日のライブの手応えを物語っていたように思う。エンドSE「Waves」(『Mardelas Ⅰ』収録)が流れる中、最後にマリナが観客へメッセージを伝えた。「この曲は、どこまでも走れという内容。特別な思いを込めて、今回のワンマンライブの締めに流すことにしました。我々もどこまでも走っていきたいと思います!」との言葉が、頼もしく心に残った。

text:舟見佳子
photo:Misa Sohma


Mardelas『Brand New Best 2025』

発売日:2025年10月8日(水)
KICS-4213~4
定価:¥4,800(税込)
収録内容:全22曲(予定) リ・レコーディング+リミックス 最新リマスター
仕様:2枚組
詳細:https://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKICS-4213/

Mardelas
Vocal: Marina Hebiishi
Guitar: Kikyo Oikawa
Bass: Hisayuki Motoishi

Support Drums: MAKI
Mixed & Mastered by Hiro (STUDIO PRISONER)

 

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