【全曲レビュー】超人的シェアハウスストーリー「カリスマ」3rdアルバム『カリスマガンボ』、凡人の想像を超える型破りな1枚

YouTubeで配信される音声ドラマと楽曲リリースを中心に、舞台公演やキャストによるライブイベントなど様々なメディアミックス展開がなされている、超人的シェアハウスストーリー「カリスマ」。凡人(=ファンの愛称)の我々には想像もつかない、個性豊かな七人のカリスマたちが織り成すシチュエーションコメディストーリーは、彼らの多大なるカリスマ性も相まって、10代・20代を中心に多くの人気と話題を博している。
そんな「カリスマ」の1年5か月ぶりとなる3rdアルバム『カリスマガンボ』が来たる9月10日にリリースされる。「カリスマ」の楽曲と言えば、クラシックや童謡と言った誰もが知る数多の名曲を一部替え歌カバーしたうえで、ジャンルに捉われない独自の世界観に昇華させた中毒性の高さが特徴的で、具だくさんのスープを意味する“ガンボ”を冠した今回のアルバムにも、これまで以上に尖りに尖った個性的な楽曲たちが並んでいる。
ここからはアルバムに収録される[おまけ](CD限定曲)を除く全10曲をレビューしていく。七人のカリスマたちのぶっとんだ魅力にあふれた楽曲たちを少しでも紐解けたら幸いだ。
M1「カリスマピザパーティー」
ゲーム『テトリス』のBGMとしても有名なロシア民謡「コロブチカ」を元ネタにした、中毒性の高いスペーステクノポップ。イタリア生まれの料理がテーマなのになぜロシア民謡を選んだのかはカリスマのみぞ知る所だ。ピザパーティーに浮かれる7人をそのまま終始描いたようなテンションの高さが印象的で、特に“ピーピピ ピーピピ ザーザザ ザーザザ”という、これまで以上にインパクトのある、むしろインパクトしか感じられないサビのフレーズは一聴しただけで耳から離れてくれない。コメディ楽曲のようにも受け取れるが、様々な具材が散りばめられたピザは、個性だらけの7人が集まったカリスマハウスの見立てと捉えることもできるかも。聴けば聴くほど沼にハマっていく1曲だ。
M2「カリスマさびら」
宇宙へ行ったかと思えば次は沖縄へ。沖縄出身のロックバンド・ORANGE RANGEのHIROKIとNAOTOが制作を手掛けた軽快なアッパーソングは、沖縄ソングの代表格「ハイサイおじさん」を下敷きにした島人の雰囲気を前面に押し出した1曲だ。各人のソロパートではテンポや調を変化させながらも沖縄の空気がしっかりと融合したサウンドアレンジとなっているのも見逃せない。「〇〇します」を意味する“さびら“を筆頭に、”メンソーレ” “ゆたしく”など、曲中にはうちなーぐち(※沖縄の方言)の言葉が多く並んでいることからも、7人全員が心の底から沖縄を楽しんだであろうことが伝わってくる。
M3「とってもかりちゅま」
MVが公開された途端、凡人の間で瞬く間にクチコミと困惑が広がった、幼児退行したカリスマ7人が歌うアップテンポなエレクトロチューン。ボイスドラマ#52「かりちゅま」がこのような形で回収されることに驚く者も多いことだろう。初期曲「めちゃめちゃカリスマ」のセルフオマージュ楽曲にもなっており、幼児の無敵感と大人への憧れがコミカルに、且つ端的に示されている。端的過ぎてどストレートな下ネタを発しているのはご愛敬。7人の歌声は幼さと無邪気さを前面に押し出しているが、元のキャラの雰囲気がしっかり残されているのを聴くと、改めてキャラクターを演じる声優陣の技量と対応力の高さに唸ってしまう。オマージュ元となったアメリカの軍歌「リパブリック賛歌」は、日本では替え歌として広まった「権兵衛さんの赤ちゃん」が有名。幼児が歌う楽曲という意味での採用も納得である。
M4「カリスマ温泉郷」
日本中の温泉を紹介しながらその素晴らしさを説く、カリスマ流の温泉布教ソング。素晴らしすぎて唐突に“温泉合体(?)“が行われるくらい、カリスマたちのテンションは最初から最後まで常にハイである。替え歌カバーされた楽曲はポップで軽快なリズムが印象深い世界的なヒットナンバー「ラ・バンバ」、そしてお風呂が沸いた時の給湯器の音としても有名な「人形の夢と目覚め」の2曲。特に後者は最早日常に馴染んだメロディでもあるため、この曲の心地良さにも合点がいくことだろう。
M5「FUJIYAMA CHARISMA」
楽曲提供したバックドロップシンデレラらしさが十二分に伝わる、ドヴォルザークの「新世界より」第4楽章を一部替え歌カバーした、「カリスマ温泉郷」に続く日本の良さ発信ソング第2弾。日本一の山である富士山をテーマにした力強さと勢いに圧倒される1曲であり、そこに世界的にも評価の高い葛飾北斎の「富嶽三十六景」の地名を散りばめることで、知的教養も満たす独創性の高い楽曲へと昇華させている。この曲の面白い部分は、七人のカリスマたちを富士山と同じレベルの誇れる存在として扱っている点。本来なら比べることすら考えない壮大な大自然だが、それと切磋琢磨しようと考えるカリスマたちはやはり只者ではない。
M6「ねんねむりんりん」
ここからの4曲はコミカライズ限定盤特典CDに収録されていた楽曲である。奴隷契約をしたい/させたくないという独特な関係性にある、服従のカリスマ・本橋依央利と内罰のカリスマ・湊大瀬が歌うのは、聴く人を眠りに誘うような、心地いい2人の歌声が響くゆったりとした眠り歌。一方で歌詞はどうにも自罰的で、依央利と大瀬の睡眠に対するスタンスがよくわかる内容となっている。どんどんテンポが速くなっていくサウンドをバックにムキになって喧嘩するラストの2人の掛け合いは、ちょっとしたミュージカルの一幕を見ているかのようでとても楽しい。
M7「ほわシャパ☆カリスマス」
反発のカリスマ・猿川慧と性のカリスマ・天堂天彦による「カリスマ」流のクリスマスソング。1番では「ワールドセクシーアンバサダー」を自称する天彦がクリスマスのアダルティな部分にフォーカスしたワードを展開すると、2番では本物のサンタを捕獲しようとする慧のピュアな一面にスポットが当たる。「カリスマ」特有のはちゃめちゃな雰囲気が繰り広げられつつも、バックで流れるサウンドはクリスマスのワクワク感を感じさせる王道さを貫いているというギャップもまた面白い。ここまで唯一無二なクリスマスソングが作られる作品もなかなかないだろう。
M8「カリスマハウスの事件簿〜消えた秩序の笛〜」
秩序のカリスマ・草薙理解が大事にしている笛の居場所を巡って繰り広げられるミュージカル仕立ての真相究明劇。疑惑を追及していく理解に対し、意に介さない自愛のカリスマ・テラと、のらりくらりと躱す正邪のカリスマ・伊藤ふみやの構図はボイスドラマをそのまま楽曲に落とし込んだような軽妙さがあり、楽しさを通り越して最早安心感すらある。ジャジーなサウンドをベースに、盤面が変わるごとにガラリと変わるアレンジの数々も聴き応え抜群だ。この事件の結末がどうなったのか、それはあなたの耳でお確かめを。
M9「カリスマ伝説」
カリスマのカリスマによる、カリスマのためのカリスマ賛歌。歌詞には「カリスマのおかげで人生が上手くいきました!」と言わんばかりに胡散臭いサプリメントの感想のような謳い文句がズラリと並ぶが、スコットランド民謡の「Comin’ thro’ the Rye」を下敷きにした耳馴染みの良いサウンドと中毒性のあるサビのおかげもあって、気付けばこの曲が頭の中をどんどん侵食してくるような感覚に襲われる。さぁ、あなたもカリスマの素晴らしさに目覚めよう!
M10「超カリスマ凡踊り」
日本伝統の盆踊りをカリスマ流にミクスチャーした盆踊りテクノポップナンバー。これまでの「カリスマ」楽曲はカリスマたちのピーキーな個性や凡人の理解を超えるセンスの塊をぶつけられることが多かったが、この曲は “超人凡人他皆様で 創る最高の世界” “町内のみんな集めて踊れば あぁ愉快”といった歌詞に代表されるように、カリスマ以外の凡人の存在が一際フィーチャーされたものとなっている。それは盆踊りが地域文化に根付いた民衆のための踊りという文化的側面も大きいのだろう。カリスマたちとともに祭りの夜を楽しみたいものだ。
さすが “ガンボ”の名前を掲げたアルバムなだけあって、独創的ながらも中毒性の高い「カリスマ」らしい楽曲たちが多く並んだ1枚となった。今回のアルバム収録曲のうち、コミカライズ特典楽曲以外の6曲はすでにYouTubeでMVが公開されている。歴代MVと同じく、どれも凡人たちの理解と想像を超える「カリスマ」にしか作れないクセの強すぎる映像で構成されたMVばかりなので、こちらも併せてチェックしてもらいたい。
今回のアルバムを引っ提げて、「カリスマ」史上最大キャパシティとなるライブツアー「カリスマガンボツアー」が11月に兵庫と千葉で行われる。七人のカリスマ声優はもちろん、カリスマダンサー、月蝕會議も出演する豪華なステージとなる予定だ。今回収録された楽曲たちをどのようなパフォーマンスで魅せてくれるのか。凡人たちには想像しえない彼らのセンスに大いに期待しよう。
Information
3rdアルバム『カリスマガンボ』
発売日:2025年9月10日(水)
品番:KICA-3315
形態:CD
定価:¥3,850(税抜価格¥3,500)
CD:https://crsm.lnk.to/3rdALTW
配信:https://crsm.lnk.to/GUMBO
収録楽曲:
1. カリスマピザパーティー/七人のカリスマ
2. カリスマさびら/七人のカリスマ
3. とってもかりちゅま / しちにんのかりちゅま
4. カリスマ温泉郷 / 七人のカリスマ
5. FUJIYAMA CHARISMA / 七人のカリスマ
6. ねんねむりんりん/本橋依央利&湊 大瀬
7. ほわシャパ☆カリスマス/猿川 慧&天堂天彦
8. カリスマハウスの事件簿〜消えた秩序の笛〜/伊藤ふみや&草薙理解&テラ
9. カリスマ伝説 / 七人のカリスマ
10. 超カリスマ盆踊り / 七人のカリスマ
[おまけ]
11. ビックカメラのテーマソング(カリスマver.)/七人のカリスマ
12. カリスマガンボ /七人のカリスマ
※初回生産分のみ『カリスマガンボツアー』チケット先行抽選申し込みシリアルコード封入