水樹奈々インタビュー、『NANA MIZUKI LIVE HOME × RUNNER』 「みんながいつでも帰ってこられる“HOME”を作り続けていきたい」
水樹奈々が、Blu-ray&DVD『NANA MIZUKI LIVE HOME × RUNNER』を12月21日にリリースした。同作は、2022年に開催した3年ぶりのツアー『LIVE HOME 2022』と2022年1月に開催した841日ぶりの有観客ライブ『LIVE RUNNER 2020 → 2022』と、水樹自身、待望のステージだったと語る2つのライブを収録。今回のインタビューでは、それぞれのライブを振り返り、印象的だったシーンや注目ポイントなどファンへの愛が詰まった同公演の映像作品について聞いた。
――2つのライブを一つのパッケージにするというのは、水樹さんの映像作品としては定番の流れですけど、それにしても今回は“濃い”ですね。
水樹奈々(以下、水樹):はい! 841日ぶりの有観客ライブ『LIVE RUNNER 2020 → 2022』の2日目と、3年ぶりのツアー『LIVE HOME 2022』の最終公演、どちらも待望のステージだったので、これまでと違う爆発力のあるものになっています!
――まさしく1月の『LIVE RUNNER 2020 → 2022』なんて、「Synchrogazer」での幕開けからアッパーで攻撃的な“熱い”曲が続くじゃないですか。ライブ活動がほとんどできなかったコロナ禍を経て、いきなりこれだけのエネルギーやカロリーを消費するライブをするとなると、準備も大変だったのでは?
水樹:ステイホームを余儀なくされて、日常の運動量も落ちていたので、いろんな不安はありました。こんなに動かず過ごしたことはこれまでなかったので、トレーナーさんとオンラインで繋いで自宅でできるトレーニングをやったり、早朝ウォーキングしたり、筋力と持久力を少しずつ上げていって。久しぶりに自分の代謝がどんどん上がっていく感じというか、エネルギーが巡っていく感じがあって、すごく気持ちよかったです! やっぱり運動することって大事だなぁ、家でジッとしてたらダメダメ! と(笑)。
――そのおかげで、爆走しながら歌っているのにボーカルが一切乱れないという驚異的なステージは今回も健在でしたが、実は“ここキツかったんです!”という曲やパートも中にはあったり……?
水樹:ないです(笑)! ひたすら楽しかったですね!! 初日は手探りなところもありましたが、やっていくうちに“ああ、ライブってコレだった”って、身体に刻まれている記憶とライブ筋みたいなものが活性化していく感じがあって。なので、パッケージに収録されている2日目は、自分を信じて楽しむだけだ! って、もう伸び伸びと羽が生えたみたいにはしゃいでいました。だから、ライブが終わったときも“え?! もう終わり?! あともう一回できる!!”というくらい、身体は軽やかでしたね。
――表情も動きも生き生きしていて、本当に楽しそうだなというのは、画面越しに観ていても感じました。もともと2020年に予定していた20周年記念ツアー『LIVE RUNNER 2020』をベースにしたライブなだけあり、水樹奈々らしい王道チューンにアルバム『CANNONBALL RUNNING』(2019年12月リリース)の楽曲を織り交ぜた、ある意味で集大成的なステージになっていましたよね。
水樹:そうですね。ニューアルバムを引っさげてのツアーだったのですが、スペシャルな節目のステージということで、ターニングポイントになったキーとなる曲を沢山織り混ぜていました。そして、最後は晴れやかな気持ちで締め括りたいという想いがあって。2020年バージョンのセットリストもアンコールの最後は、これからも夢を追い続けるという想いを込めて「VIRGIN CODE」を配置していたのですが、コロナ禍に突入し、先の見えない不安が続いて、色々抑制された日々が続いている今、「Shining Gate開いたその先へと手を伸ばす気持ちは止められない」という冒頭の歌詞にあるように、私達の心の自由は奪われない! 未来へ向かって突き進んでいこう! というメッセージとしてこの曲を届けたいと思ったんです。どの曲も20年間の感謝を込め、大きな“愛”にして、皆さんに届けたいと思い構成していました。
――本編ラストの「ALL FOR LOVE」みたいなストレートに愛を謳う曲で、〈ただ愛のために〉とか〈あなただけしか 私にはもういらない〉なんていうワードが、絵空事ではなく説得力を持って伝わってきたのも、そのおかげでしょうね。
水樹:こんなに長い時間ライブがストップしたのは初めてで、悶々とした日々が続いていましたが、今できることをコツコツやろう! と気持ちを切り替え、自分自身をブラッシュアップする時間に当てました。その中で皆さんへの愛と感謝もより膨らみ、いろんな奇跡の連続で今があることを改めて感じて、伝えたいことはしっかり言葉にして届けたい、そうでないときっと後悔する! って実感したんです。そういった想いがダイレクトに歌に乗ったのかもしれません。
――そのあたりはMCにも表れていて、“次の曲がラストって言いたくない!”って率直に伝える姿が、子供のようにピュアで素敵だなと。
水樹:ステージにいるけれど、楽屋にいるような素の状態でした(笑)。生真面目な性格なので、きっちりしないと! と肩に力がはいってしまうことが多いのですが、コロナ禍を経てそれが取り払われてきた気がします。
――なるほど。20周年ということで映像もさらに凝っていて、オープニングから中盤のスペシャルムービーに、水樹奈々の歴史を綴った高速紙芝居、さらにエンドロールと、すべてにおいてこれまでの歩みが描かれていたのもグッときました。
水樹:オープニングとスペシャルムービーは、私を初ツアーからずっと撮ってくださっている映像監督の佐藤麗さんにお願いしました。まず、オープニングはこれまで私が立たせていただいたライブ会場を巡る映像にしたいとお話ししたら、全国各地飛び回って会場の映像を撮り下ろしてくださって!
――ええ!? てっきり過去のライブの際に撮っていた素材を流用したのかと。
水樹:そうじゃないんです! ロケに行って一から作ってくださったものです。そしてスペシャルムービーでは歴代ライブの様々なシーンを切り取って、20年間のライブの歩みを感じてもらえるものにしていただきました。パッケージ用に入っているエンドロールもすごく懐かしい気持ちになって。昔から私を応援してくださっているみなさんには、特に喜んでいただける内容になっていると思います。
――観ていて、ご自身でもグッときたんじゃありません?
水樹:きました! 節目のタイミング、そしてコロナ禍でライブがストップしていたことも重なり、よりグッときて…映像を作ってくださった麗さんには感謝の気持ちでいっぱいです。リハーサルで何度も観ているはずなのに、本番のあの高揚した空気のなか、舞台裏で待機しながら映像を観ていると、胸がいっぱいになって。そこからステージに飛び出し、また、このさいたまスーパーアリーナに戻ってこれたんだ…! と思ったら、初日の「Synchrogazer」は込み上げるものをコントロールできませんでした。ペンライトで一面青に染まった客席を見たら、鳥肌が立って、細胞中がブワーッと活性化して。2年間眠っていたものが呼び起こされて、もう自分では制御できない! という状態で。あのシーンは忘れられません。そこで感じた想いが「HOME」の歌詞にも繋がっていきました。
――7月にリリースされたアルバム『DELIGHTED REVIVER』収録の「HOME」は、841日ぶりの有観客ライブで感じた想いを投影した楽曲とのことで、歌詞には〈地球-そら-より熱く青い海〉というフレーズもありますけど、では、これはそのときの光景のこと?
水樹:そうです。『LIVE RUNNER 2020 → 2022』では言葉を超えたエネルギーを感じました。みんな声は出せなくても心で歌ってくれていて、それが波動となって、自分の細胞や皮膚に届いてくる感じがあって。そんなスペシャルな感動から生まれた曲が「HOME」だったので、『LIVE HOME 2022』で言葉以上の愛を乗せられたらいいなと思いながら歌っていました。
――会場との一体感は映像でも強く感じられましたよ。その『LIVE HOME 2022』で特に印象的だったシーンや注目してほしいポイントを挙げるなら?
水樹:まずは、ホームグラウンドに久しぶりに帰ってくる姿を表現しようと、オープニングで花道から登場してステージに戻っていくという演出になっているところです。いきなりドカン! と始まるのではなく、みんなに包まれながら温かい空気での幕開けというのは今回だからこそなのかなと思います。そして「ダブルシャッフル」! 毎回完全アドリブで激しく踊っていたので、この公演だからこそのパフォーマンスを楽しんでいただけたらと思います。
――以降、水樹さんが怪盗となってガラスを蹴り破り、お宝を奪うというスリリングな映像を挟んで、キャデラックならぬ“Nanallac”で登場してからの「GUILTY」と「DNA -Dance’n’Amuse-」の色気もヤバかったです。
水樹:ありがとうございます。ハイキックして割れたガラスが立体的に飛び出てくるように見せたかったので、撮影では10回以上キックしました! 簡単そうに見えますけど、約13センチあるピンヒールでのハイキックは大変なんですよ(笑)。体幹トレーニングをやっておいて良かったです(笑)。Nanallacは1人で乗るのではなく、女の子たちと箱乗りしたかったので、ダンスゾーンで登場させました。オールドアメリカンで華やかなイメージがあるので、今回のコンセプトにピッタリだなと。そこからのダンス曲3連発もぜひチェックしていただきたいですし、ホームコメディムービーを挟んで、後半戦の水樹らしい激熱ゾーンも楽しんでいただきたいですし……って、結局全部になっちゃいます(笑)。
――ショートムービーは各公演地で異なる声優さんをゲストに迎えたアメリカンホームドラマ風の映像で、アドリブ満載のかなりシュールな仕上がりでしたね。
水樹:ファイナルの名古屋公演を担当してくださった堀内賢雄さんが“これまで経験してきたアフレコで一番難しかったよ!”とおっしゃっていました(笑)。例えばイベントでの生アフレコだったら、その場でみなさんの反応を見ながら柔軟に対応できるのですが、収録なので “果たしてこれで伝わったかな?みんな楽しんでくれているだろうか?”と、みなさん不安になられていて。なので “めちゃくちゃ盛り上がりました!”と、皆さんに現場でお会いできたときに直接お伝えしようと思っています。
――パッケージには全公演分のムービーも特典として収録されていますから、ファンとしても楽しみです。他にも“初めての○○”という日替わり曲のコーナーが設けられていて、ファイナルでは“一番スぺシャルなものを!”と、「NOëL 〜La neige〜』の門倉千紗都として歌った水樹奈々初のキャラクターソング「Girl’s Age」を披露されましたが、この曲を歌われたのって相当久しぶりだったのでは?
水樹:18歳のときのイベントと、学園祭で一度歌っているかも? というくらいです。この先歌うことがあるかわからないので、貴重な時間を楽しませていただきました(笑)。しかもキーボードの佐藤雄大さんは、『NOëL 〜La neige〜』が大好きだったみたいで、めちゃくちゃ気合を入れて弾いてくださって。時を経て、こんな形でユーザーさんと共演するなんて、ご縁だな! と思いながら歌っていました。
――しかも、佐藤さんの推しは門倉千紗都だったという話を、ちゃんと『LIVE RUNNER 2020 → 2022』のほうのMCでされているんですよね。一つのパッケージの中で、ここも上手く繋がっている。
水樹:確かにそうですね(笑)! 「DELIGHTED REVIVER」制作のきっかけになったライブと、それを引っ提げてのライブ、すべてが繋がっているので、この2つのライブを一つのパッケージにできたことが本当に嬉しいです。メイキングもボリューミーで、『LIVE HOME 2022』だけで1時間以上あります(笑)。当日の舞台裏だけじゃなく、リハーサルやムービー撮影の様子も入っていますし、すべて合わせるとすごい分数になっていて。ぜひじっくり楽しんでいただけたら嬉しいです。
――ツアー中は誰かが熱を出さないか毎日不安だったとおっしゃっていただけに、ファイナルが終わったときの充実感は大きかったんじゃありません?
水樹:無事に完走できてよかった! とホッとしました。感染者数が増えてしまったタイミングでのツアーだったので、チームみんなが徹底して体調管理してくださったからこそ最後まで走り切れたと思います。いつ何が起こるかわからない状態が続いたこの2年を経て、1日1日をより大事にしていきたいと改めて感じましたし、これからもみんながいつでも帰ってこられる“HOME”を作り続けていきたいと強く思っています。
――来年1月にはバースデーライブ『LIVE HEROES 2023』も決定していて、誕生日当日の1月21日は“LIGHTNING MODE”と題して黄色、翌22日は“BLADE MODE”と銘打って青色と、それぞれ異なるビジュアルも既に公開されていますが、どんなライブになりそうでしょうか?
水樹:何を言ってもネタバレになりそうなのですが(笑)、黄色でLIGHTNING、ブルーでBLADEといえば、それぞれキャプテンになるヒーローは誰なのか? 皆さんが予想している、まさにその通りです! ということはお伝えしておきます(笑)。このテーマだからこその激アツな構成になっていて、まさに王道ぞろい!とにかく熱量が半端ないことになっていますので、みなさんぜひしっかり体調を整えて遊びに来てくださいね!会場のさいたまスーパーアリーナも今回はスタジアムモードになるので、アクティングエリアがグッと広がるんです。なので、私も皆さんに負けないように、改めて体力作りをして臨みます!
(取材・文=清水素子)
■リリース情報
『NANA MIZUKI LIVE HOME × RUNNER』
発売:2022年12月21日
Blu-ray
盤種:Blu-ray(4枚組)
価格:¥10,890(税込)
初回特典:SPECIAL BOX
DVD
盤種:DVD(6枚組)
価格:¥10,890(税込)
■ライブ情報
『NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023』
2023年1月21日(土)
[開場]16:00/[開演]18:00
-LIGHTNING MODE-
2023年1月22日(日)
[開場]15:00/[開演]17:00
-BLADE MODE-
会場:【埼玉】さいたまスーパーアリーナ
『NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023』特設サイト
https://www.mizukinana.jp/special/2023_liveheroes/
水樹奈々 オフィシャルサイト
https://www.mizukinana.jp/