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福田こうへい、多彩に観客の心を震わせた2022年最後のコンサート 『福田こうへいコンサートツアー2022』レポート

 11月に大阪・新歌舞伎座で、自身が座長を務める『福田こうへい特別公演』を成功に終えたばかりの福田こうへいが12月7日、東京・浅草公会堂にて『福田こうへいコンサートツアー2022』を開催。今年最後のコンサートに多くのファンが会場に詰めかけた。

 11月2日にリリースしたばかりの最新曲「北風よ・・・」で幕を開けたステージ。股旅姿で登場した福田は、同曲を歌い上げながら、曲中では殺陣を繰り広げる。新歌舞伎座での公演で培った、見事な刀さばきに会場からは拍手と歓声があがり、「皆様、本日ようこそお越しくださいました」と挨拶した。

 このコーナーでは股旅ものを数曲披露し、MCでは「あっと言う間の2週間でした」と、新歌舞伎座での公演を振り返った福田。公演終了後は地元・岩手で休息を取ったそうだが公演の余韻が抜けず、気づけば刀の代わりにコロコロを振り回していたというエピソードを披露するなど、持ち前のサービス精神で会場の笑いを誘った。

 昭和歌謡メドレーのコーナーでは、司会者の「お手拍子と拍手と共にお楽しみください」との言葉で、会場には手拍子が広がった。観客は、グッズのペンライトやブレード、うちわなどを手に、思い思いにステージの福田へと声援を送る。福田も歌いながら会場のあちらこちらに目を向け、手を振って声援に応えた。ドラマチックなバイオリンのイントロから始まった「星のフラメンコ」(西郷輝彦)では、歌に合わせて合いの手が会場に響く。福田もフラメンコのような振り付けで魅せ、スパンコールの付いたきらびやかなスーツもあいまって、会場は華やかな昭和の時代へとタイムスリップした。

 また、歌で全国を旅するようなイメージで、様々な故郷や土地を題材にした演歌/歌謡曲も多く歌われた。遠くの故郷にも届きそうな力強さで、哀愁漂う歌声を披露した福田。観客はそれぞれの故郷に思いを馳せながら、その歌声に耳を傾けていた。

 目玉となったのは中盤。新歌舞伎座での公演時に観客から“コンサートで歌ってほしい曲”を、毎日アンケートを採ったそうで、それを基に人気の上位楽曲を次々と披露した。男同士のぶっきらぼうだが、熱さと愛情にあふれた「父子鷹」。後悔の念が心を打ち振るわせた「かんべんナ」など。後半は着流しに衣装を替えて登場し、2018年に『第51回日本作詩大賞』を受賞した「天竜流し」を歌唱。会場に“よいしょ”という力強いかけ声がかかり、福田は拳をにぎりながら男気漂う歌声をふるった。

 最後はヒット曲を次々と披露した。福田のデビュー曲にして、オリコン演歌チャートで1位を獲得した「南部蝉しぐれ」も歌われ、会場には大きな拍手が沸き起った。同曲は2013年『第64回NHK紅白歌合戦』に初出場時に歌われた楽曲で、『第55回日本レコード大賞』新人賞受賞という輝かしい賞歴を持つ。自身の原点を嚙みしめるように歌った福田は「これからも応援してもらえるように頑張ります。今年1年、本当にお世話になりました」とコメントした。

 このコンサートでは、他にも自身のルーツである民謡の有名曲を歌ったコーナーもあり、どこまでも伸びるロングトーンと民謡特有のこぶしで、聴く者の心を震わせた他、大漁旗をはためかせながら「一番マグロの謳」など港の男の力強さを歌ったコーナーも。オリジナル曲を中心に多彩な選曲で楽しませた2時間半。今年最後のコンサートを、多くの観客がその目と耳に焼き付けた。

 また来年、1月14日に地元の岩手・北上市文化交流センターさくらホールで新春歌い初めを行い、『福田こうへいコンサートツアー2023』がスタート。精力的に走り続ける福田こうへいの姿が、多くのファンに勇気と希望を与えている。

(取材・文=榑林史章/写真=池村隆司)

福田こうへい オフィシャルサイト
http://fukudakohei.info/

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