神野美伽がデビュー40周年コンサートを開催/ジャズピアニストのクリヤ・マコト率いる豪華メンバーによるビッグバンドと共演「まだまだ自分自身の可能性を追求したい」
演歌歌手の神野美伽が、9月13日、東京・新宿文化センターにて<神野美伽デビュー40周年コンサート My Voice is the sound of my soul>と銘打ったリサイタルを開催した。
本番前には「会場で、テレビで、そして天国で聴いて下さっている皆様の記憶に残るライブを、今日一日に凝縮したい」とステージにかける意気込みを語った。今年は神野の実父、そしてデビュー当時からの制作ディレクター等が相次いで旅立ったことに対する思いが、この言葉にはこもっている。この日のステージは2部制となり、第1部は世界的なジャズ・ピアニストで作曲家の、クリヤ・マコト率いる総勢20名のビッグ・バンドとの共演だが、特筆すべきはその豪華メンバー。トロンボーンの中川英二郎やトランペットのルイス・バジェ、山崎千裕、サックスの庵原良司、竹村直哉など、いずれもファーストコールのトップ・プレイヤーぞろい。そしてリズムセクションの納浩一、大坂昌彦もそれぞれ日本ジャズ界が誇るベーシストとドラマーである。客席には前夫で作詞家の荒木とよひさをはじめ、作曲家の弦哲也やミュージシャンのASA-CHANG、古市コータローなど多くの音楽仲間や関係者が、神野の40周年の集大成を見届けようと駆け付けた。
第1部の幕開け、真っ白なロングドレスで登場すると、「ようこそ私の40周年コンサートにお運びくださいました!なんて幸せなんでしょう!どうぞ一緒にお楽しみくださいませ!」と曲中に挨拶。“ブギの女王”笠置シヅ子の代表曲「ヘイヘイブギ」を躍動感たっぷりに披露した。
「今日は様々なジャンルの曲を皆さんと紐解いていけたらと思います」と話すと、続く「ジャングルブギ」を爆発するようなエネルギーに満ちたシャウトで締めくくった。続いて江利チエミの、歌手として、また俳優としての生き方の素晴らしさに触れ、「テネシーワルツ」を、ギター1本をバックにしっとりと歌唱したか思うと、曲の中盤からテンポアップする生き生きとしたアレンジで聴かせた。江利チエミと同時代に活躍した美空ひばりの「リンゴ追分」は、ピアノのバッキングが複雑に絡むグルーヴィーなジャズナンバーに生まれ変わった。そして1部の後半、「もう一人、演奏に素敵な方に加わって頂きます!ヴァイオリニストの寺井尚子さん!」と、世界でも活躍するジャズ・ヴァイオリニストの寺井尚子を迎えると、「ちょうど1年前、東京でのジャズフェスで初めてご一緒して寺井さんの生演奏を聴いて、もう心奪われまして、もっと聴きたい!と思って福島県のコンサートを聴きに行って、楽屋で少しお話してご一緒させて頂きたいと申し上げたんです。」と出会ったきっかけを紹介すると、パティ・ペイジの「Lover come back to me」を披露。寺井の奏でるヴァイオリンが加わると、スタンダードナンバーが一気に大きな広がりとドラマティックな彩りを見せる。続いて「ベサメ・ムーチョ」、「エル・クンバンチェロ」といったラテンナンバーを披露。ボンゴのソロから始まる「エル・クンバンチェロ」では、ボンゴと客席のハンドクラップの掛け合いで客席との一体感が生まれ最高潮の盛り上がりを見せた。神野曰く、「近年、JAZZ・LATINの世界で活躍する音楽家たちとの出会いから新たな道を開け、未知の世界を冒険中」という言葉のとおり、まるで新たな冒険を楽しんでいるようなパフォーマンスであった。「17歳の時、学校の授業で見て心が壊れそうになり震えた」という、1970年の名作映画「ひまわり」のテーマ曲では、今のウクライナ情勢に触れ、作詞家の湯川れい子が詞を付けた特別なナンバーを披露。そして1部のラストはシングルとしてもリリースした江利チエミのカバー「旅立つ朝(あした)」で幕を閉じた。
第2部の冒頭では、65作のシングルジャケットがスライドしてゆくオリジナル映像からスタート。その時々の作品の思い出などを神野が語り、自身の歴史をファンとともに振り返った。そしてデビュー曲の「カモメお前なら」から、年代順に代表曲をラインナップして歌唱するというメドレー形式の珍しい構成で、32年余の付き合いになるというバンド「神野組」との息のあったパフォーマンスで思う存分に演歌を熱唱した。デビュー当時からのファンも、その時どきの思い出を懐かしみながら特別なセットリストを楽しんだ。そして終盤、荒木とよひさと岡千秋のタッグが神野のために書き下ろした66作目となる最新シングル「夜が泣いてる」を披露すると、39年ぶりにリレコーディングし、カップリングとして収録した「男船」を、これぞ神野節といえる迫力で威勢よく披露。そしてコンサートでは欠かすことなく歌い続けてきた、神野美伽の真骨頂ともいえる「酔歌ソーラン節」、「無法松の一生~度胸千両入り」を熱唱すると、会場は歓声と大きな拍手に包まれた。ラストにはオリジナル曲「あんたの大阪」で締めくくり、実に39曲に及ぶ凄まじいボリュームのステージは、大盛況のうちにフィナーレを迎えた。「あっという間の40年。会社勤めならそろそろ定年退職と言う世代に入りましたが、まだまだ自分自身の可能性を追求したい気持ちが湧いて参ります。」という本人の言葉どおり、41年目もしっかりとした足取りで、進化を続ける神野美伽の今後に期待が高まる。
<セットリスト>
第1部
神野美伽 withクリヤ・マコト&THE BIG BAND・寺井尚子
1. ヘイヘイブギ
2. ジャングルブギ
3. テネシーワルツ
4. さのさ
5. リンゴ追分
6. Summer time
7. Lover come back to me
8. ベサメ・ムーチョ
9. エル・クンバンチェロ
10.ひまわり
11.旅立つ朝(あした)
第2部
神野美伽 with神野組
1.カモメお前なら
2.浪花そだち
3.春夏秋冬屋形船
4.人生夜汽車
5.酔守唄
6.浪花八景
7.恋唄流し
8.夜桜善哉
9.海の伝説(レジェンド)
10.男節
11.浮雲ふたり
12.手紙
13.雪簾
14.日本の男
15.鴎を売る女
16.桜みち
17.浮草の川
18.命の恋
19.男の海峡
20.石狩哀歌
21.千年の恋歌
22.愛のワルツ
23.泣き上手
24.夜が泣いてる
25.男船
26.酔歌ソーラン節
27.無法松の一生~度胸千両入り
28.あんたの大阪
神野美伽「夜が泣いてる」MV
商品情報
「夜が泣いてる」
KICM-31100(定価¥1,400)
オリジナルカラオケ4曲。全6トラック収録。
作詩:荒木とよひさ/作曲:岡千秋/編曲:猪股義周
「男船」
作詩:やしろよう/作曲:市川昭介/編曲:猪股義周
神野美伽オフィシャルサイトはこちら▼
http://shinno-mika.com/