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INORAN 最新インタビュー 9月24日リリース『ニライカナイ -Rerecorded-』への想いを語る

INORAN二ライカナイ

5月18日に渋谷CLUB QUATTROでファイナルを迎えたINORAN(LUNA SEA)にとって初の対バンツアー「SONIC
DIVE 2025」のステージで、9月24日にニューアルバム『ニライカナイ-Rerecorded-』がリリースされることが発表となった。
本作はタイトルが表すとおり、2007年にリリースされた4枚目のソロ・アルバム『ニライカナイ』をリレコーディングした作品となる。
なぜ2025年の現在、『ニライカナイ』をリレコーディングするのか、現在の想いをINORANが語る。

――また刺激ある対バンツアー「SONIC DIVE 2025」を終えて。音楽人・INORANは今どんなモードか?
「例えば、あるプロジェクトの成り立ち…その始まりは、その何か月も前から立ち上げや仕込みが当然始まる。様々な準備がものすごく多くて。LUNA SEAの35周年ツアーが2月のドーム2DAYSでツアーファイナルを迎えてから、当然いろんなことが並行して動いていて。Tourbillonやソロ・アルバムとツアー…アパレル関係など、その他もたくさんあるし」

――複数同時に動いていて混乱は?
「しそうになるよ。でも、一つ一つ丁寧にやっていくしかないよ。その全ては、自分がやりたいことだからさ」

――映画を観たり、旅行をしたりの多少の余暇は?
「今はできるだけ取るようにしてる。今、振り返ってみれば、音楽以外の趣味や熱くなるものがそんなになくここまで過ごしてきたけど、作り出すものをさらに豊かにするもの、その要素って、実は周りに溢れていてさ。人に会ってとことん話す。それも然り」

――INORANは本当に人に会ってるイメージ。
「人に会う分だけ当然、出会いもあり別れもある。でも、出会って(関係性が)近くなっていくと、その人からなにかをもらえる喜びがあって。で、当然僕からも…与え合えればもっとね。そんなやりとり…当然、その事が自分の音楽を作るモチベーションになるんだよね」

――さて。LUNA SEAの35周年を経ての待望のソロ・アルバムは2007年の『ニライカナイ』のセルフカバー。そのアクションの背景を語ってもらう前に、<ブラックカルチャー>を引き合いに出させていただきます。ブラックカルチャーって、アメリカ大陸に連れてこられた奴隷たちが作り出した文化なわけですが、黒人としてのアイデンティティを守っていくために、むしろ積極的に自分たちのカルチャー以外のものを取り入れたり、交わるっていうことをしてきた。自分らしさを残すために多文化や他人と交わりながら変化していく。変わりつつも同じものであることがブラックカルチャーの真髄だと。INORANを見てるとすごくそれを感じるところが。変化を恐れないというか、むしろ人と交わって変わっていくことが面白いんだと。それを体現してる人がINORANそのものかなと。
「考えてみて。いつの時代もね、自分の世界の外側と、定義しているもの…影響されないで生きてゆく…ってこと自体が、もはや不可能なこと。だとしたら、順応していく、それすらも自分のカルチャーとして取り入れていく方がいい。自分を形作るもの。例えば僕は、ミュージシャンとして、その子孫にいいものを残していきたい。当然、僕は過去、先人からもらったものがたくさんあって。そして未来に何を残していけるか?ってことを考えるよ。そういう意味では、自分の生涯…なんで生まれてきたんだろう?そんなところまで掘り下げるとさ、こうやってギターを持って何十年とやってきて、その中でいろんな思いもさせてもらって、そういう中でどうやって自分が生きていくかっていう」

――ええ。ブラックカルチャーのもう一つの特徴が、今のINORANの話と一致すること、未来を切り開くために過去に学ぶってことをずっとやってきたということ。自分たちのルーツってなんなんだろう?っていう、それを常に振り返りながら新しいものを作っていくのがブラックカルチャー。
「シンクロしてるね。俺、今日ルーツって言葉を使うつもりだったよ」

――それは?
「今まで様々アップデートしてきた。でも今、ルーツに戻る必要があるっていうことが今回のアルバムを作るためのテーマなんだよね」

――なぜ今ルーツに戻る必要があるのか?
「去年一昨年の経験…LUNA SEAで、様々なアルバムの再現ツアーをした。その何かに…突き動かされた感じがあって。自分は冒険をするために様々な場所へ行き、アップデートもしてきた。もっと言えば、毎日アップデートしているんだよね。なら、もう一回その場所に、以前訪れたその地に…今思う心境とか重ねてきた経験を、今置かれた環境で生きている自分が帰ってみたらどう思うんだろう?って」

――『ニライカナイ』を選んだのには、なにか具体的な根拠があったのか、それとも、直感的なもの?
「当然、自分が作るアルバムは全て好きだよ。でも何故かね、このアルバムを好きでいてくれる人が多くてね。「アンコールツアーをやりなよ」みたいなことを言われる度に、「嫌だよ、だって俺はもう先に行きたいんだからさ」って。別に過去を捨てるわけではなく、まして忘れる事もない。「もっと他に見たいものがあるからさ」っていう冒険魂。でも、ふとした瞬間に蘇って心を震わすものってあるよね? なんかここだったんだよね。そう、今ここに戻る必要があるって思った」

――まだ製作の途中ですが、既に見えてると?
「『ニライカナイ』は日本語詞のアルバム。それもまた魅力があって。再び乗せる思いは変わらないけど、確かに違う広がりを帯びた景色があるよ…うん、味わいたいね」

――例えば、RYUICHIさんが喉を壊す病気を克服しながら歌いつづけたLUNASEAの35周年ツアー。LUNA SEAの歌は日本語詞ベース。それを病気と闘いながら歌いつづけたRYUICHIさんの歌がINORANの何かを突き動かした…そこも今回のアルバムと関係している?
「…本当に長いツアーだったから。傍らで俺はギター弾いてた。だからかな、うん、ルーツに戻ってみる。そうすることでまた新しい冒険のテーマが湧いてくる。これを作って、当然そのツアーをやる。その先に…山で言うと、例えばK2の西壁ルートみたいな、誰も登ってないところを登ってみたいと思うんだよ。あるいは、もっともっと高い山に挑戦したい。それには今もう一度戻る必要がある。自分は何をしたいんだろうか、という確かめるところに。それが今回の動機のひとつなんだよね」

――再び“ブラックカルチャー”を引くと、アメリカでできたブラックカルチャーですが、1961年にブラックカルチャーの代表的な存在でもあるニーナ・シモンがアフリカに行くんです。つまり、新大陸でできたブラックカルチャーを持って、ニーナ・シモンが母国アフリカに帰還した。その時にニーナ・シモンが「私はアフリカに来たんじゃなくて、これからアフリカから何かが来ることになる」みたいなということを言ってて。まさにINORANが言った、ルーツに帰るんじゃなくて、そこからまた何かが始まるっていうことをニーナも言ってる。原点回帰って、元に、昔に、戻るだけじゃない。次の一歩のために必要なこと。
「そうだね。やっぱり僕も戻るって感じではないな。昔のアルバムの写真を見るっていう感じではないんだよ。絶対にその当時の“昔”はもう存在はしてない。だって今この瞬間も過去になっていくものだから。全ては、過去の積み重ね。だからこそ、意味があるんだよ。今だからこそね、再びルーツを訪れて、そしてまたその先へ…まだ登ったことがない、とんでもない高い山に登るためにさ」

――『ニライカナイ』というアルバム…歌詞を見ても、歌を聞いても、具体的に風景が浮んできて。そのリリックに没入してしまう。しかしこのアルバムは、音像的には場所がPLACELESSなんです。つまりどこでも聴ける音で。言葉って普通は何かを限定するためにあるのに、日本語で歌ってるにもかかわらず、なぜかPLACELESSで聞ける。それは今回2007年の『ニライカナイ』を聴き直してみての不思議な体験。
「もっともっと広い世界を見たいと思ってた…今も。いろんな場所で、いろんな人に聴いてもらいたい。そのスピリッツは、今も色褪せないよ」

――具体的に新録する音像は、頭の中で鳴ってる?
「どうかな…ただその時の、自分の感覚を大事にしたいってことはわかってる」

――その時の自分次第?
「その時の感覚をちゃんと自分で拾って、音そして歌を、吹きこむ。でも以前訪れた場所の印は必ず残してね」

――今日のこの時間は、すごいシンクロしてます。それはINORANのクリエイティブが本質的なことをやっているという証なんだと。
「 “ルーツに戻ることで新しい扉が開く”…これは、やっぱり仲間がいるから。そう思わせてくれる。例えばさ、会社組織の中でも、家族とかファミリー、社会でも…そうだと思うんだよ。周りに誰かがいてくれるから、誰だってね、もっと自分が強くなれるんだよ。そう思う」

――今からの旅も当然、さらに高い目標、目的に向けて出発するのも必然…。つまり、今回は新たな旅立ちのまさに幕開け。
「本当にこれは今しかできないもの。そのツアーも、再現ツアー。あの当時と今のタイムリープ。その中で自分は、時空を超えて、喜びに変わるような感情や、思い…瞬間を未来に向けて、みんなに向けて、放ちたい。みんなの思いも浴びたいよ。それが、俺のミッション」

――音楽を通して常に何かを繋げたり、渡していくことがINORANのミッション?
「選んでくれたんだよ、“何か”が俺をね。で、俺もその“何か”とディールをした。だから、行けるところまで全うするのが使命だと思ってるよ」

――最初 “なぜこのタイミングで過去作のリレコーディング?”って。今お話を伺って腑に落ちて。今を大切にしながら、過去を再訪し、そこから未来の扉を開けるという3次元の自由飛行。
「何か、常に背中を押されている感じは忘れずにいたい。もっと強くもあり、それは弱くもあり…そうだね」

――そして秋には、このアルバムツアーが。
「このアルバムを持って「Determine 2025」と銘打って回ります。9月から11月までなので、3ヶ月に及ぶツアーに」

――どんなツアーに?
「当時は今とメンバーが違うので、その時点でもう音像は変わるわけで。どんな景色を生めるか。もちろん、素晴らしい景色をね。今の僕達なら…きっとそんな未来が待っているはずだよ」

――『ニライカナイ』というタイトル自体がINORANなのかと。“ニライカナイ”は沖縄の理想郷で、善も悪も混在する理想郷。そいう場所って、INORANが今言う、どんな言語の人でも響く感じとシンクロしていて。
「『ニライカナイ』を作った当時、沖縄のある一日がコンセプトだったんだよね。朝から始まって夕暮れまで。でも今は、きっと感じ方が違う。これって、なんかものすごく自分の中でヒントがあって。それを追求し過ぎず、でもね…追いながら、ギターも歌も…その思いを吹き込んでいければ、また違う一日が生まれたりさ。まさに時空を自由に移動できる感じも理想郷的かなと。そんなアルバムとツアーを、みんなとね、まさに味わえる日が来るのが、今から本当に楽しみだよ!」

text by ジョー横溝

Information

INORAN 『ニライカナイ -Rerecorded-』
発売日:2025年9月24日発売
収録予定曲:
1. Determine
2. Unstoppable
3. Diffused reflection
4. Walk along
5. Cloudiness
6. 時の色
7. Anything
8. I miss you
9. Discus
10.存在のカケラ

INORAN TOUR Determine 2025
9月27日(土) 渋谷CLUB QUATTRO
10月3日(金) 福岡DRUM Be-1
10月5日(日) 広島SECOND CRUTCH
10月11日(土) 梅田CLUB QUATTRO
10月12日(日) 神戸VARIT.
10月18日(土) 仙台darwin
10月25日(土) 水戸LIGHT HOUSE
10月26日(日) 柏PALOOZA
11月1日(土) 名古屋CLUB QUATTRO
11月2日(日) LIVE ROXY 静岡
11月15日(土) 渋谷CLUB QUATTRO
詳細は随時発表!

INORANレーベルサイト https://www.kingrecords.co.jp/cs/t/t16340/
INORANオフィシャルサイト https://inoran.org/

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