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【全曲レビュー】完全新曲を含む全10曲を収録、 VTuberグループ「あおぎり高校」1stアルバム『あおバム』

あおぎり高校1stアルバム『あおバム』

「おもしろければ、何でもあり!」をモットーに2018年から活動を開始したVTuberグループ『あおぎり高校』(所属メンバー:音霊魂子、石狩あかり、山黒音玄、栗駒こまる、千代浦蝶美、我部りえる、エトラ、春雨麗女、ぷわぷわぽぷら、萌実、月赴ゐぶき、うる虎がーる、八十科むじな)。バラエティ豊かで体当たりな配信活動や多くのコラボレーションを繰り広げながら、日々全力で多くのファンを楽しませるために邁進している。

2025年4月にはキングレコードのEVIL LINE RECORDSからメジャーデビューし、配信デビューシングル「お前のまともはまともじゃない」はMVの再生回数が100万回を突破。さらに5か月連続で楽曲を配信リリースし鮮烈な印象を残した。そんな彼女たちの待望の1stアルバム「あおバム」が1月21日に発売された。今回のアルバムには完全新曲を含む全10曲を収録。「おもしろければ、何でもあり!」のスタイルは音楽でも踏襲されており、オリジナリティしかない聴きごたえ抜群のアルバムとなっている。ここからはアルバムに収録された全曲のレビューを実施していく。彼女たちはアーティストとしてどのような楽曲を歌っているのか、じっくりと見ていくことにしよう。

M1「お前のまともはまともじゃない」(音霊魂子・石狩あかり・千代浦蝶美・我部りえる・春雨麗女・萌実)」

名刺代わりとしてはかなりパンチの効いた彼女たちのメジャーデビュー楽曲。先が読めない変則的な楽曲構成、随所に挟まれる中毒性の高いラップパート、常識のブレーキがぶっ壊れたような型破りな歌詞など、まさに「あおぎり高校らしさ」がギュッと詰め込まれた1曲と言っていいだろう。可愛い・カッコいい・破天荒など、それぞれのキャラが立った6人の歌声と、それらを活かすようなクールなトラックも特徴的。彼女たちの只者ではない雰囲気がこの1曲だけでも十分に伝わってくるはずだ。

M2「諸行無常ってやつですか?」(音霊魂子・石狩あかり・千代浦蝶美・我部りえる・春雨麗女) ※新曲

ポップなリズムと5人の歌声がクセになる、日常のエピソードを切り取ったコミカルなダンス・ホップナンバー。合間に挿入される“Fuwa Fuwa”のコールや、間奏のボイスチョップも楽曲の中毒性に一役買っている。“パンタ・レイ”とは、古代ギリシャの哲学者・ヘラクレイトスの思想「万物は流転する(=すべては絶えず変化し続ける)」を表した言葉。そんな高尚な言葉を日常の失敗や言い訳の免罪符として連呼しているのも面白いのだが、それ以上に愛おしさを感じるのは筆者だけではあるまい。

M3「えっえっえっ♡」(山黒音玄・栗駒こまる・我部りえる・うる虎がーる)※新曲

すべての語尾に♡が付く清竜人(作詞・作曲)ワールド全開なポップミュージックと、MOSAIC.WAV(編曲)のエレクトロなアレンジが融合したドープな1曲。リスナーのピュアな気持ちをからかうような女の子たちの小悪魔的で思わせぶりな可愛さが光る歌詞と、それらをしっかりと甘く、時に艶っぽく表現した4人のボーカルはまさに中毒性の塊で、この疑似的な恋愛シチュエーションにいつまでも浸っていたいと思わせてくれる。

M4「コピペパペット」(石狩あかり・我部りえる・春雨麗女・八十科むじな)※新曲

流行や集団心理に踊らされやすい現代人の一面をユーモアを交えて表現したアイロニカルな歌詞は実に痛快。そこに「コピペではなく魂を燃やして君のオリジナリティを探し出せ!」という熱いメッセージが付加されたことで、この楽曲がただの風刺にはならず、個性派ぞろいでフリーダムな『あおぎり高校』の生き様として昇華されているという点も非常に味わい深い。また、感情や抑揚をしっかり乗せた4人のラップフロウのレベルの高さも注目ポイント。抵抗なくスルリと耳に入ってくる技術の高さは並大抵のものではない。

M5「ミス・プリマベーラス」(石狩あかり・山黒音玄・萌実・うる虎がーる)

この楽曲は配信に深く携わる人ほど共感する楽曲と言っていいだろう。配信者と視聴者の間で生まれる認識の差異をメタとエッジを効かせて描写したナンバーで、交わりそうで交わらない両者の関係性は、どの視点を通して物事を見ているかで感じ方も変わってくるはずだ。ポップさと不穏さを両立させた記名性の高いサウンド、身体が動いてしまうエレクトロスウィングビート、キャッチーでありながら知性も感じさせる独特のワードセンスなど、楽曲提供したFAKE TYPE.の特徴が前面に押し出された1曲でもある。歌いこなす4人のボーカルも聴き応え抜群だ。

M6「カオスですがなにか?」(月赴ゐぶき・うる虎がーる・八十科むじな) ※新曲

あおぎり高校の中では最も後輩にあたるTRIMADの3人による歌唱楽曲。先輩たちへの憧れと同期の仲間意識を軸にした楽曲ではあれど、2番サビ前で突然「ボンバイエ!」と叫んだりするなど、『あおぎり高校』らしいカオスな要素は随所に表れている。3人が歌う楽曲と言うことで、「トライアングル」「三位一体」といった“3”に関する言葉が登場するほか、「サンカッケー」と三角形を掛けた言葉遊びなど小ネタも満載だ。

M7「つまづきコレクション」(音霊魂子・石狩あかり・ぷわぷわぽぷら・萌実) ※新曲

ここまでは『あおぎり高校』の個性的でコミカルな一面をフィーチャーした楽曲が主に並んでいたが、本曲は「つまづいたり不安を感じている視聴者の心を、配信を通じて笑わせてあげたい」という、彼女たちの配信者としてのスタンスにフォーカスが当てられた爽やかな1曲となっている。くじらの軽やかなグッドメロディも相まって、心がふっと軽くなるような晴れやかな読後感が印象的。『あおぎり高校』のまた違った一面がこの曲から垣間見えるはずだ。

M8「たぶん人生はバグだらけ」(栗駒こまる・千代浦蝶美・我部りえる・エトラ・ぷわぷわぽぷら)

優雅で上品な希望あふれるサウンドと、メンバーの歌と台詞が複雑に入り混じるギミックが印象的な、『あおぎり高校』の新境地。様々なバックボーンを持つ『あおぎり高校』のメンバーたちのこれまでの道のりを肯定し、未来へ進む背中をそっと押すような歌詞は、彼女たちだけでなく視聴者であるファンたちも含めた“賛歌”と呼んでも差し支えないだろう。今だけでなく、これからも様々な節目でこの楽曲が沁みる瞬間が訪れるにちがいない。

M9「PLAYERS「A」」(音霊魂子・石狩あかり・山黒音玄・栗駒こまる・千代浦蝶美・我部りえる・エトラ・春雨麗女・ぷわぷわぽぷら・萌実・月赴ゐぶき・うる虎がーる・八十科むじな)

『あおぎり高校』初となるメンバー13人全員による歌唱楽曲は、1番・2番・ラスサビの曲調がガラリと変わるプログレスタイルな1曲だ。『あおぎり高校』らしさが存分に発揮されたドタバタで楽しげな雰囲気が特徴的で、各人の個性を凝縮させたソロパートと、どこかエモさを感じさせる全体パートのバランスが絶妙である。“咲かずにChillより盛らなきゃ” “苦節の女子の癖つよStory!”など、言葉遊びも面白く、何度聴いても飽きないポップソングの魅力が存分に詰まっている。

M10「トリコロール・ステップ 2025」(音霊魂子・石狩あかり・山黒音玄・栗駒こまる・エトラ・春雨麗女・ぷわぷわぽぷら)

2020年にリリースされた、3人で歌唱したオリジナル版のリアレンジバージョン。これまでにも多くのバージョンが存在するほか、様々なメンバーがソロで歌うなど、『あおぎり高校』の代表曲としてファンの間で認知されている1曲でもある。オリジナル版当時からかなりの大所帯となった現在のあおぎり高校だが、メンバーが増え、3色がカラフルになっても、 “結ぶ想いを光る矢に乗せて放とう”という歌詞のとおり、彼女たちの想いは後輩たちにもしっかりと受け継がれている。『あおぎり高校』の軌跡を噛み締めながら聴いてもらいたい。

改めて収録曲を振り返ってみると、『あおぎり高校』らしいコミカルで賑やかな楽曲はもちろん、彼女たちのキュートな魅力を前面に押し出した楽曲から、配信者としての根っこの部分である「見ている人を楽しませたい」というピュアな想いを綴った曲まで、あおぎり高校の様々な一面が表現されたアルバムであることがわかる。ゆえに聴く者によっては普段の『あおぎり高校』の配信どおりという印象の曲もあれば、意外性の塊という楽曲もあるだろう。それだけ、彼女たちの魅力は多面的なのだ。

オリジナル番組などのライブ配信が楽しめる動画コミュニティプラットフォーム「OPENREC.tv」での新番組「あおぎり高校のDEEPな課外授業(V)」の配信や、各メンバーのソロライブの開催など、各メンバーはオンライン・オフライン問わず積極的に活動を続けている。昨年10月に7周年を迎えた『あおぎり高校』。これからも彼女たちから目が離せない。

Information

あおぎり高校_メジャー1stアルバム『あおバム』ジャケット写真

メジャー1stアルバム『あおバム』

発売日:2026年1月21日(水)
CD:https://aogiri.lnk.to/aobumPR
配信:https://aogiri.lnk.to/aobumdET

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