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第67回 日本レコード大賞 編曲賞受賞、丘みどり20周年記念曲「夜香蘭」レビュー

丘みどり「夜香蘭」

演歌歌手デビュー20周年のメモリアルイヤー真っ最中の丘みどり。今年3月には初の座長公演、9月には女性演歌歌手として初めて両国国技館でコンサートを開催するなど、20周年を自ら盛大に祝うかのように、精力的に活動を続けている。

そんな丘みどりの20周年記念シングルとして2月にリリースされた「夜香蘭(ひやしんす)」は、7月に感謝盤、9月に花道盤が続けて発売されるなど、リリースから約1年弱が経過した現在もロングセラーを記録中。「第58回 日本作詩大賞」にノミネートされたほか、「第67回 輝く!日本レコード大賞」では編曲賞を受賞するなど、彼女の新たな代表曲となりつつある。

今回はその快挙を祝して「夜香蘭」のレビューを実施。丘みどりの魅力が詰まった20周年記念楽曲を余すことなく記していこう。

爽やかな質感のあるサウンドとゆったりとしたメロディが心に沁みる、フォークタッチのポップス楽曲。丘みどりの持ち味である“力強いこぶし”をあえて封印した攻めの1曲で、温かくもどこか哀愁の漂う情緒豊かな歌声と、彼女の繊細な表現力が存分に堪能できる内容となっている。「吾亦紅」などで知られる作曲家・杉本眞人の紡いだ耳心地の良いメロディはもちろんのこと、彼女の歌声を引き立てるように奏でられたアコースティックなギターの音色と伸びやかな笛の音も印象的。これまで女の業や深い悲しみを綴った楽曲を数多く歌ってきただけに、デビュー20周年にして丘みどりの新たな一面を映し出した楽曲と言っても過言ではないだろう。

そして、 “愛する人を一途に思うラブソング”とも、“今にも消えてしまいそうな儚い恋の歌”とも取れる、シンプルながらも百人百様の解釈が可能な叙情的な歌詞も見事。演歌界を代表するトップ歌手たちに数多くの楽曲を提供してきた作詩家・水木れいじが描く“等身大”の女性が、丘みどりの歌声を通すことでより実在感を伴って聴く人の心に沁みわたっていく。

夜香蘭は、青色では「変わらぬ愛」、紫色では「悲哀」、白色では「控えめな愛らしさ」など、色によって花言葉の意味が大きく異なることでも知られているが、聴く人によって様々な印象を抱かせるこの歌は、まさにそんな花の名前にぴったりである。切なさ・儚さ・温かさが同居する不思議な1曲。あなたはこの主人公の境遇をどのように受け止めただろうか?

様々な世代へ演歌と歌謡の魅力を伝え続ける丘みどり。2026年も彼女の活動から目が離せない。

丘みどり20周年記念シングル『夜香蘭』

CD:https://kingrecords.co.jp/cs/g/gKICM-39004/
配信:king-records.lnk.to/since_2005

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