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俳優・和田雅成の1stアルバム『Raise』全曲レビュー 、多彩な表現力と感情をぶつけた珠玉の13曲

和田雅成

舞台『刀剣乱舞』シリーズや舞台『呪術廻戦』、ドラマイズム『REAL⇔FAKE』シリーズ、マクドナルド「ビッグマック」CMなど、多方面で活躍中の人気俳優・和田雅成。2024年9月25日に1stシングル「Dice」でキングレコードからアーティストデビューを飾った彼が、その勢いのまま12月11日に1stアルバム『Raise』をリリースする。
※11月28日0:00より先行配信

アルバムには12曲のボーカル曲とインスト1曲の計13曲を収録。初回限定盤には42Pのフォトブックに加え、「Dice」のMusic Videoやメイキング映像を収録したBlu-rayが付属されており、ファンならマストバイの1枚となっている。ここからはアルバムに収録されている13曲の楽曲レビューをお届け。アーティスト・和田雅成の様々な一面が描写された楽曲たちをじっくりと紐解いてみよう。

M1「Brand new world」


アルバムの1曲目を飾るのに相応しい、新たな世界へ駆け出す胸の高鳴りを歌った、希望にあふれたアップチューン。自分から光を掴み取りにいくアグレッシブな姿勢を表現した和田の力強く爽やかな歌声が印象的で、ステレオアレンジされたギターリフなど、リスナーの耳に残る要素が多い1曲に仕上がっている。また、“あなたとなら最高のBrand New World”、“You raise me up”、“さぁ行こうよ”など、歌詞には聴いている人の存在を明確に意識した言葉が随所に現れる。これは「新しい世界へ飛び出すのは聴いているあなたと一緒だよ」というファンへ向けたメッセージでもあるのだろう。

M2「Now Loading」


グルーヴィーなベースとパワフルなギターサウンドをバックに、スタッカート気味に力を込めるサビの歌声が印象的なナンバー。Aメロ・Bメロで吐露した不安を、和田の力強い歌声とサビの爽やかで前向きなリリックで吹き飛ばす様は非常に痛快で、「Now Loading」というタイトルどおり、“未完成な状態でもどんどん進んでいくんだ!”という、ある種の無敵感すら感じるメッセージは聴いている私たちの心をも弾ませてくれる。

M3「Dice」

和田のアーティストデビューシングルの表題曲であり、自身初の単独主演ドラマ『神様のサイコロ』の主題歌でもあるプラトニックなラブソング。真っ直ぐに相手を想うピュアな歌詞とは対照的に、和田の歌声はどこか色気を感じさせるほどに艶っぽくてセクシーだ。タイトルである「Dice」はドラマタイトルを意識しているのはもちろんだが、2番に登場する“The dice is cast” = “賽は投げられた”=“最後までやるしかない”という決意の意味も含まれている。サイコロに運命を託さず、自ら切り拓こうとする彼のカッコよさをこの曲で堪能してもらいたい。

M4「Fly Higher」


努力し、足掻き、掴み取った栄光を誇りながら、さらに限界のその先へ全力で突き進んでいく。私たちがこれまでに見てきた和田雅成という俳優の生き様をそのまま楽曲に落とし込んだようなポジティブソングであり、様々な挑戦を続けてきた彼だからこそ、この歌声の力強さにも説得力が出てくるのであろう。疾走感のあるストレートなバンドサウンドと爽やかで快活な歌声は、聴く人の背中をしっかりと押してくれるはずだ。

M5「プライド」


辛く苦しい時もがむしゃらに走り続け、剥き出しの自分で泥臭く勝ち取りながら積み重ねてきた“プライド“。和田が歌うこの曲からは”プライド“という言葉から連想される高慢で不遜な姿勢は一切感じられず、むしろ彼の歌声によってこちらの心が沸き立つほど、歌声には熱が籠っている。また、サビのラストに登場する“埃まみれの旗“ というフレーズがダブルミーニングになっているのも見逃せない。泥臭く努力する姿こそ、最高にカッコいいのだ。

M6「fragile」


和田の心の強さが描かれたこれまでの5曲から一転、彼の弱い部分が垣間見えるような、人間臭さが薫るこの楽曲。「想いは脆い。だからこそ今伝えなければならない」という焦燥感、情熱や自信をなくしてしまった喪失感と後悔の念。そんな言葉で表現しきれない不安な感情を繊細に丁寧に歌声で紡いでいく。所々で流麗に奏でられるストリングスの音色も、その繊細さを一つ上のレベルに押し上げているかのようだ。ラストに近付くにつれてどんどん想いが加速していくドラマチックな展開も必聴である。

M7「own world」


自身が主演を務めるドラマ『0.5D』の主題歌にもなっている、縦ノリしたくなるようなダンスナンバー。ここまで力強い歌声を披露していた和田だが、その印象がガラリと変わるくらい、この曲のボーカル表現はオシャレさとカッコよさに振り切っている。そんなボーカルを引き立てているのが、ブラスライクな音を織り交ぜたエレクトロサウンド。サビの“oh my own world”でのタイミングの外し方や、基本4つ打ちで進行していくダンスビートが2番A・Bメロで一時的に崩れる様など、所々で単調にならないような工夫が表れているのも面白い。

M8「Resurgence -Masanari Wada×Shouta Aoi-」


ドラマ『REAL⇔FAKE』でも共演した声優・歌手の蒼井翔太とのコラボ楽曲。時にハモリ、時にクロスする2人の歌声の相性は抜群で、特に和田の主旋律と蒼井の高音ハモリが重なるサビの展開は、2人の歌声の力強さと楽曲の疾走感も相まって、いつまでも心地良く聴いていられる。聴く人の心を奮い立たせるような熱さすら感じる言葉の数々は、さすが“再生” “復活“を意味する「Resurgence」を冠しただけはあるだろう。

M9「Game is over」


1stシングルのカップリング曲である、エフェクトを多用したエレクトロナンバーは、緩急の付いた和田のボーカル回しが印象的。この曲の主人公は一途な思いを抱いているにもかかわらず最初から最後まで切迫感や悲壮感を感じさせるような恋愛をしており、それは“愛しても 満たされない 許されない 愛の形” ”求めれば求めるほどに離れていく”といった歌詞に加え、言葉を捲し立てるように間奏なしの楽曲構成とするなど、様々なアプローチで心の余裕のなさを表現している。

M10「memories」


「memories」というタイトルどおり、失ってしまった大切な人を思い返す切なさがあふれた楽曲。女々しさすら感じさせるノスタルジックな歌詞でありながら、和田の歌声がそこまで悲しさを感じさせる声色ではなく、且つサウンドもどこかポップな雰囲気を纏っているため、最終的にこの楽曲を聴いてどういった感情を抱いたのかは人によって意見が異なってくるだろう。想像の余地を残した不思議なフレーバーが薫る1曲になっているのは間違いない。

M11「虹の彼方」


“もう一度僕と出会ってくれますか?” “もしもこの世界が明日終わるとしたら その瞬間まで抱きしめ合おうよ”など、胸がキュンとなるような愛の言葉が次々と並ぶ純愛ソングである。幸せな2人の姿が目に浮かぶのは、光が差したような暖かなサウンドと和田の柔らかく綺麗な高音のおかげだろう。この前の2曲が悲しい恋愛ソングだったこともあって、相対的にこの曲の幸福度が高くなっているのは言うまでもない。

M12「ピリオド」


少しの後悔を滲ませながら、新たな自分の世界を伝える決意を表明する。そんなメッセージを携えたバラードナンバーは、優しげなピアノの音色と和田の柔らかな歌声が印象的だ。歌手・和田雅成の新たな姿を見せていくというメッセージであることは間違いないだろうが、それ以外にも俳優として、そして1人の人間として様々な姿を見せるという想いが含まれているようにも感じられる。どんどん転調していくラストの畳み掛けは感動必至。こちらの感情を容赦なく揺さぶってくることだろう。

M13「Raise」


しっとりと終わった「ピリオド」が終わったと思ったら、アグレッシブなサウンドが再び奏でられる。アルバムタイトルを冠したラストのインスト曲は、次のステージがまだ待っているのだと宣言するように、まるで次回予告のように聴く人の気持ちと期待を高めて終わりを迎える。ここからどのような未来が待っているのか、想像するだけでも楽しくなってくることだろう。

改めて13曲を振り返ってみると、ストレートなロックナンバーからオシャレなクラブチューン、そして柔らかなバラードナンバーまで、和田の歌声のバリエーションと表現力を堪能できるアルバムになっているのがわかる。それは10年以上俳優として積み重ねてきた彼の技術的な部分であるのはもちろんのこと、アーティスト・和田雅成として様々な一面を見てほしいという想いもあるのだろう。

2月8日には初のワンマンライブ『1st ONEMAN LIVE「Raise」』が横浜・関内ホール 大ホールにて開催予定。これまでユニットでのライブのほか、数多くの舞台やミュージカルを経験している百戦錬磨の和田ではあるが、ソロアーティストとしてのステージの雰囲気はやはり別物。アーティストの第一歩としてどんなステージを見せてくれるのか、大いに期待したいところだ。

『Raise』というアルバムタイトルどおり、これから歌手・和田雅成としての価値をどんどん高めていくことになるだろう。彼が羽ばたいていく姿をアルバムの楽曲と共に見守っていこう。

Release information

和田雅成 1stアルバム『Raise』
発売日:2024年12月12日

和田雅成1stアルバム『Raise』初回限定盤

<初回限定盤>
Blu-ray/フォトブック(全36P・176×276mm予定)
和田雅成 1st ONEMAN LIVE「Raise」チケット先行抽選申し込みシリアル封入

1stアルバム『Raise』通常盤
<通常盤>
和田雅成 1st ONEMAN LIVE「Raise」チケット先行抽選申し込みシリアル封入
※初回製造分のみ

収録曲:※初回限定盤、通常盤共通
01.Brand new world
02.Now Loading
03.Dice 04.Fly Higher
05.プライド
06.fragile
07.own world
08.Resurgence -Masanari Wada×Shouta Aoi-
09.Game is over
10.memories
11.虹の彼⽅
12.ピリオド
13.Raise

buy:https://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKICS-94183/
listen:https://masanari-wada.lnk.to/Raise
※11月28日0:00より先行配信

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