『エレファント6レコーディング・カンパニー』 チャド・ストックフレス監督 ケリー・ハート登壇 舞台挨拶報告レポート& 映画本編の貴重ライブ映像解禁

90年代、USインディー・シーンに浮上した謎多き音楽集団<エレファント6>。DIY精神に徹底して音楽を創造し続けた彼らとはいったい何者なのか、活動の裏側を紐解いていくドキュメンタリー『エレファントレ6コーディング・カンパニー』が公開を迎え、監督のチャド・ストックフレス、そしてサプライズゲストでOTCのウィル・カレン・ハートの奥様ケリー・ハートが来日!8月1日(土)に東京・シネマート新宿にて行われた舞台挨拶に出席した。
チャド監督が10年の月日をかけて本作の最初のバージョンが完成したのが2019年。当初はVHSビデオテープにダビングし、レンタル方式で公開、その名も「Elephant 6 Video Rental Club」。なんとレンタル料は無料(!)収益は一切求めず「映画を観ることが特別な体験になる」と、DIY精神に徹底して仲間と好きな音楽を創り続けたエレファント6らしい公開方法だったのだ。

この無料レンタル方式についてチャド監督は「当時はもう配信が主流となり、VHSを見る人も少ないし買う人も少ない、これは悲しいことだよねと、ロバート・シュナイダー(アップルズ・イン・ステレオ)とも話していたのです。エレファント6はジャケットやステッカー、全て自分たちでオリジナルを作っていた仲間たちだったので、そのコンセプトに沿ったもの、VHSにしたらクールなのでは?ということになったのです」と経緯を明かした。
レンタルのシステムはチャドがアメリカの主要都市のカフェやレコードショップに「Elephant 6 Video Rental Club」と書かれたフライヤーをランダムに設置。そのフライヤーに記載された電話番号に連絡すると自動応答でメッセージが流れるようになっており、観客は指定の私書箱宛てに「必ず返却します」と一言添えて手紙を郵送、後日ビデオテープが送られてきて観客は映画を鑑賞、その後指定の住所にビデオテープを返却する、という方法だ。チャドは「最初は2通のみ手紙が届き、それだけても嬉しかった」と言い、「手書きのポストカード等、様々な種類の手紙がその後100通届きました。とても素晴らしいことで、このシステムは成功したと思います」と笑顔を見せた。
さらには「人と人との繋がりに挑戦をしたかったのです」と、「配信が主流となりメディアが消耗品としてどんどん消費されていく中で、あえてビデオのレコーダー、ビデオデッキの手段を選びました」と明かした。「今やホコリをかぶったビデオデッキを出しては、友達を呼んで一緒に見ようということになるかもしれないし、その人と人とのつながりを想ったのです」と、チャド自身、子どもの頃、「映画を観ることは特別な魔法のような体験だった」と言い、「いつでもNETFLIXで観れるというわけではなく、ひと手間かけて特別な経験をしてほしいという想いもありました」と明かしてくれた。

チャド・ストックフレス監督(左)、ケリー・ハート(右)
当時、VHSビデオテープを観た感想を尋ねられたケリーは、「ウィルも私もビデオデッキを持っていなくて、チャドがデッキまで持ってきてくれました(笑)」と言い、「これがファイナルカットになるのかなと思ったけど、編集のスタイルもエレファント6らしいアナログ方式で、初めて観た時は本当に興奮しました!」と振り返った。
ふたりにとってのエレファント6とは?と尋ねられると、ケリーは「元々エレファント6のファンでした」と言い、「自分自身にとってはエキサイティングなアイデアで、彼らは音楽集団でもありアート集団でもあります。ひとりひとりにとってのエレファント6があり、何かひとつに定義できるものではないと思っています。メンバーもリスナーもそれぞれエレファント6の一員で、みんなが参加している、というところが本当に楽しくて、クールなんだと思います」と。チャド監督はエレファント6のロゴに触れ、「この傘の中には色んなものが詰まっているんです」、「ロバート・シュナイダーと出会ったことでエレファント6を知りました。ロバートに“僕の友達の映画を作ってみないか?”」と誘われ、「カジュアルなノリがきっかけで映画作りがスタートしました」と言い、「このカジュアルな部分がエレファント6のスピリッツ。不安なことがあればみんなでサポートして、お互いに自分たちの能力を引き出していく。とにかくやってみようというのがエレファント6なんです」と語ってくれた。
トークの最後には、ふたりは観客に感謝の想いを述べつつ、チャド監督はこれから何か新しいことにチャレンジしたい人へ「この映画が、勇気づけられるような存在になってくれたら嬉しいです。やればできる&やりたいことがあればやろうよ、ということを伝えたいです」と、続いてケリーも「エレファント6は垣根のない集団で、友達同士励まし合って何でもやってきたのです。自分で自分たちの道を作るロードマップのような存在で、是非皆さんも本作を見て自分の中にクリエイティブな部分を追及していただければ嬉しいです」とメッセージを寄せ、会場は温かい拍手に包まれた!
この度、本編のライブ映像が解禁となった。「アップルズ・イン・ステレオ」のライブに「オリヴィア・トレマー・コントロール」のビル・ドスが参加、「エルフ・パワー」のライブに「ニュートラル・ミルク・ホテル」のジェフ・マンガムが参加するなど、まさに来日時のチャド監督とケリーが語っていたように、“エレファント6らしさ”でさまざまな楽器でお互いのライブに参加し合っているシーンが印象的だ。「ミュージック・テープス」の“巨大メトロノーム”といい、徹底したDIY精神のなかに音楽のみならずアートでも個性とアイデアのぶつかり合いが垣間見える。また、エレファント6を代表するバンドのひとつ、「ニュートラル・ミルク・ホテル」の約15年ぶりの復活ライブとなった貴重な映像が切り取られている。
Information
チャド・ストックフレス C.B. Stockfleth
ルイジアナ州ニューオーリンズを拠点とする映画監督。ケンタッキー州中部で育ち、高校を中退。その後、オーランドのフルセイル大学で映画学科に進学。過去20年間、主にケンタッキー州ルイビルでCMディレクター兼フォトグラファーとして活躍している。「アップルズ・イン・ステレオ」や「オリヴィア・トレマー・コントロール」といったバンドのミュージックビデオの制作やライブに携わるほか、数え切れないほどの地方CMや企業PRを監督し、数々の賞を受賞している。
『エレファント6レコーディング・カンパニー』
7月31日(金)シネマート新宿、アップリンク吉祥寺、シネマリスほか全国順次公開
監督・製作・撮影 :チャド・ストックフレス
出演 :ロバート・シュナイダー、ビル・ドス、ウィル・カレン・ハート、ジェフ・マンガム他
2022 年/アメリカ/英語/93 分/カラー/ビスタ/5.1ch
原題:The Elephant 6 Recording Co.
日本語字幕:大熊香奈/字幕監修:坂本陽一(ワイキキレコード)
提供:トーキーマジック、キングレコード/配給:キングレコード
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