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森口博子 初単独オーケストラコンサートで40周年ツアー全公演を完走、到達した「最強で最高」の音楽人生

森口博子 初単独オーケストラコンサートで40周年ツアー全公演を完走、到達した「最強で最高」の音楽人生

歌手・森口博子が8月14日、東京オペラシティ コンサートホールで、デビュー40周年を記念して全三章構成で行われたアニバーサリーツアーのラストを飾る「森口博子 40周年アニバーサリーツアー 第三章“一夜限りのStarry Symphony”(オーケストラ編)」を開催した。

令和にリリースしたアルバム8枚全てがオリコンランキングでベスト10入りを果たすなど、その、記録でも話題となってきた森口博子が40周年アニバーサリープロジェクトの最終章として行った本公演。第一章のバンド編成、第二章の音楽プロデューサー・武部聡志との歌とピアノだけの語らいに続き、オールラストとなる第三章に選んだのがオーケストラコンサート。森口の歌声がオーケストラアレンジでどんなメタモルフォーゼを魅せるのか。スケール感あふれるオーケストラサウンドの中、真摯に歌と向き合い聴く者すべての心を震わせた、アニバーサリープロジェクトの集大成にふさわしい奇跡の一夜をレポートする。

暗転した会場の静寂を切り裂くように、Japan Pops Orchestraのチューニングが響き渡る。客席から拍手が送られる中、マエストロ・佐々木新平に続き、情熱的な赤のドレスを纏った森口が登場。ピンスポットに照らされた森口が「10 YEARS AFTER」(『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』エンディングテーマ)を歌い出す。ソロとしてオーケストラを背負うコンサートが初という事実が、いつも以上に第一音から格別な重みをもたらしていた。森口の歌唱に厚みのあるサウンドが重なり、オリジナルが持つ躍動感がより広大な響きへと昇華。オーケストラの演奏に引けを取らない清く力強い歌声で、一気に一夜限りのアニバーサリーイベントへと引き込んでいった。

森口博子 40周年アニバーサリーツアー 第三章コンサート写真2

歌唱後、鳴り止まない拍手を受け森口は深々とお辞儀。MCではリリースした3作品すべてが「オリコン週間ランキング」ベスト3にランクインした「GUNDAM SONG COVERS」シリーズのスピンオフ作品『GUNDAM SONG COVERS -ORCHESTRA-』の収録曲を中心に、2025年12月3日にリリースした40周年アニバーサリーアルバム『Your Flower ~歌の花束を~』の楽曲を歌うことを予告。「ほぼ(『ガンダム』シリーズの)テーマソング。名曲の嵐でお届けします!」と呼びかけると、客席からは期待の歓声と拍手が巻き起こった。

2曲目に披露されたのは「銀色ドレス」(『機動戦士Ζガンダム』挿入歌)。ハープの音色が美しい前奏から森口の透き通った歌声が聴こえはじめると、耳になじんでいるはずの楽曲がオーケストラとの融合でまた違った表情を魅せてくる。森口の息遣いに寄り添い、時には高め合うように、時には慈しむように音を重ねていくオーケストラの演奏は、まさに音楽による対話そのものであった。続けて「月の繭」(『∀ガンダム』エンディングテーマ)を歌唱。雄大で奥行きのある演奏に、まるで月光に照らされたかのような雰囲気を醸し出す歌声が、楽曲の世界観を色鮮やかに表現していた。

歌い終えた後のMCで森口が、いつものコンサートとは違う会場の雰囲気に「堅いよ(笑)。いつものように楽しんで」と語りかけると、客席からは「ピロコ~!」「きれい!」の声援が。もちろんファンたちは普段のコンサートと同じ気持ちで臨んでいたのだろうが、オーケストラとの協奏によりひと味違ったオーラを放つ森口の歌声に圧倒されているかのような印象を受けた。そんなどこか“よそ行き”な雰囲気を機敏に察した森口のトークはさすがの一言だった。

続いて届けられたのは、「ファンの皆さんと私にとってもっとも歴史を感じる。言葉には言い表せない作品」と切り出し歌った、デビューシングル「水の星へ愛をこめて」を手がけたニール・セダカ氏と売野雅勇が40年越しにタッグを組んだ楽曲「聖なる惑星 -Sanctuary-」。森口も「最高の宝物」と表現し「『水の星』というキラーワードが入っている」と喜んだ曲で、コンサートでパフォーマンスするのは初。オーケストラの演奏が壮大な楽曲の世界観を見事なまでに体現し、切々と歌う森口の姿がオーバーラップする様子は、まさに宇宙空間を彷彿させるようなシンフォニーだった。

森口博子 40周年アニバーサリーツアー 第三章コンサート写真3

立て続けに投下されたのは森口の原点でもあり、2018年にNHKで放送された番組『発表!全ガンダム大投票』内の「ガンダムソングス・ランキング」で1位に輝いた「水の星へ愛をこめて」(『機動戦士Ζガンダム』オープニングテーマ)だ。森口の歌声は神聖な響きを帯びて会場を満たしていく。17歳の少女が右も左も分からぬまま宇宙へと放った歌は時を経て、聴き手の魂を包み込む包容力へと変貌。デビュー曲がオーケストラの荘厳な調べと共に重みを持って響きわたり、何度も聴いてきた楽曲がより情感を増して感じられた。「デビュー曲は歌手にとって特別。森口博子を生んでくれただけでなく、その先にいるファンのみんなとの出会いを運んできてくれた運命の曲」と森口もMCで話していたが、何とも言えないエモーショナルな展開に目頭が思わず熱くなった。

MCをはさみアクトされたのは「ETERNAL DAYS ~あなたがいてよかった~」。森口の代名詞の一曲である「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」(『機動戦士ガンダムF91』主題歌)のアンサーソングとして生まれた楽曲だが、「ETERNAL WIND」はこの夜、まだ披露されていない。ただ、ここでアニバーサリーツアー第一章を思い出してほしい。あのときのセットリストもサプライズに満ちていた。ということは……。そんな観客たちの期待を胸に、森口はあふれ出て止まらないファンへの「ありがとうの気持ちを伝えたい」という思いで歌い出す。切々と物語を語るような歌声に優しげな演奏がマッチし、聴く者の心をあたたかに染め上げていく。歌う森口も曲の終盤には感極まり涙する場面も。歌い終え目頭の涙を拭う森口の姿に、会場からは惜しみない拍手が送られた。

感動的なパフォーマンスを見せたかと思えば、続くヨハン・シュトラウス1世が作曲した行進曲「ラデツキー行進曲」では指揮者に挑戦。森口はマエストロ・佐々木との「赤いパンツ(綿100%)」という願掛けにまつわる共通点トークで会場を爆笑の渦にし、さらに指揮を執るも演奏が始まった瞬間、「こうしたら手拍子を」と客席の方に振り返って演奏を止める茶目っ気たっぷりな行動で客席を笑わせる。どんなコンサートでもエンターテインメントを忘れない、第一章から示され続けている森口博子の全方位型エンターティナーの面目躍如の瞬間だった。

大盛り上がりの指揮アクトの後、前半最後は「哀 戦士」(『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』主題歌)。ロッキングな演奏に、森口は力強く地平線の先のどこまでも響いていくような歌声で応える。直前の「ラデツキー行進曲」の盛り上がりに感化されたのか。観客たちも手拍子で盛り上がっていく。歌い終わりの森口の敬礼ポーズには割れんばかりの拍手が巻き起こり、一度ステージを下りた森口も導かれるかのように再登場。大歓声を浴びていた。

森口博子 40周年アニバーサリーツアー 第三章コンサート写真4

15分の休息を経て、「FIND THE WAY」(『機動戦士ガンダムSEED』エンディングテーマ)』の前奏が流れる中、純白のドレスへと着替えた森口が登場。スケール感あふれるオーケストラの演奏を背に、しっとりと穏やかな歌声で歌い上げていく。歌唱後のMCではドレスの着こなしについて、スタイルの美しさよりも「歌うための呼吸」を最優先に選んだことを説明。アーティストとしての矜持が宿ったスタイリングに会場から拍手が起きていた。

続く「遠い記憶」(『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』エンディングテーマ)の歌唱前には、小学校3年生の頃に経験した“家出”の思い出が語られた。共に計画していた友人が引っ越してしまい断念、それでも真夏の太陽の下“プチ家出”を思い立つが、行き場なく学校の校庭をぐるぐると歩き続け、夕暮れに帰宅した際に誰も自分の不在に気づいていなかったという愛らしくも切ない記憶を披露した。その記憶すら「この家族でよかった」と肯定へと昇華させた森口の強さが、楽曲に深い叙情性を与えていた。

森口博子 40周年アニバーサリーツアー 第三章コンサート写真5

ここまでも森口博子らしさ全開のコンサートだったが、終盤に向けてコンサートはさらに静から動へと変貌していく。「オーケストラコンサートでペンライトを振ってもいいか」というファンの懸念に対し、森口はファンとの絆を最優先。森口自ら「参加型」と称した「FLYING IN THE SKY」(『機動武闘伝Gガンダム』オープニングテーマ)では、オーケストラをバックに英語歌詞の合唱レクチャーを敢行した。「BRIGHT YOU NOW」というフレーズを「ブラジャー ナウ」と覚えさせるなどユーモアあふれる語呂合わせは、観客の緊張を解き一体感を創出。森口博子のコンサートならではの楽しさを味わえる瞬間だった。会場全体が声を合わせ、英語歌詞が会場の天井へと昇っていく。こうした遊び心を絶やさない姿勢こそ、愛され続けている所以なのだろう。

さらに参加型の楽曲「鳥籠の少年」(「CRフィーバー機動戦士Ζガンダム」搭載曲)では、「ハイ!ハイ!」のコール&拳の振り上げで、さながらロックなライブ会場のように。パワフルな歌声にアッパーチューン、オーケストラの演奏による化学反応に観客は酔いしれていた。そして森口による客席の動画撮影タイムを経て、「めぐりあい」(『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』主題歌)を歌唱。心の奥底に響き渡るような演奏、ムーディーかつアダルティーに歌う森口の姿に会場中は釘付けだった。

森口博子 40周年アニバーサリーツアー 第三章コンサート写真6

本編の終幕として選ばれたのは、40周年アニバーサリーアルバム『Your Flower ~歌の花束を~』の象徴とも言える楽曲の一つで、TM NETWORKの木根尚登が作曲し、畑亜貴が作詞を手がけた「真心ブーケ」だ。最後の曲という言葉に会場から「えー!?」という声が挙がり、森口も「数日前から『この日が来なければ……』と子供みたいに思った」とうなずく。続けて「それぐらい40周年アニバーサリープロジェクトは幸せだった」「今が一番、最強で最高の音楽人生だと思っている」「ファンの皆さんとスタッフの皆さんと今まで以上に濃くつながれたと実感した40周年」とファンへの感謝の思いも込めて話した。

「4歳で歌手になると決めて以来、私にとって歌うことは呼吸。みんなと一緒に残してきた作品やコンサートは命そのもの」。そう語る言葉の重みは40周年を前に足首を骨折し、一時は車椅子での活動を余儀なくされたという苦難を乗り越えた者だからこその説得力に満ちていた。そんな森口が誠実さたっぷりに歌った「真心ブーケ」には優しさや愛しさ、切なさに温かみ、そこはかとない哀しみなど、さまざまな感情が乗せられ、歌声に会場が柔らかに抱きしめられていた。

森口博子 40周年アニバーサリーツアー 第三章コンサート写真7

大きな拍手の中、森口が降壇するも拍手は鳴り止まず、そのままアンコールを求める手拍子へと変わり、森口は再びステージに登場。「たくさん言いたいことはあるけど伝えたいことは一つです。命ある限り歌を届け続けます!」と宣言すると、再び盛大な拍手を浴びていた。

ここで森口はアニバーサリーイヤーが終わってしまう寂しさを口にしつつも、ファンの心を「ぽっかりせない」という言葉と共に、12月16日に人気カバーアルバム『ANISON COVERS』シリーズの第3弾『ANISON COVERS 3』をリリースすることを発表。収録曲に「CAT’S EYE」(『CAT’S EYE』主題歌)や「Get Wild」(『シティーハンター』エンディングテーマ)といった曲があることを口にすると、会場からは期待の歓声が上がっていた。

そして、この日最後にして40周年アニバーサリープロジェクトのオーラスを飾る曲として、「まだ歌っていない曲がありますよね」という言葉から披露されたのは「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」(『機動戦士ガンダムF91』主題歌)。森口の言葉を借りれば「たくさんの方々とのめぐりあいを生んだ、私たちの奇跡が詰まった名曲です」であり、本編でアンサーソングを歌うという“匂わせ”もしつつ、その上でアニバーサリーツアー第一章の1曲目で歌われ、集大成となる第三章のアンコールで歌唱という。ファンにはたまらない、プロジェクト全体を通した心をわしづかみにされる演出と言えよう。

前奏が流れ出した途端、感極まった様子の森口は目頭を拭う仕草を見せるも、美しく厳かな演奏の中、遙か彼方まで届くような希望と光に満ち満ちた歌声を届けた。歌い終えると観客だけでなくオーケストラのメンバーからも盛大な拍手が送られていた。一度ステージを下りた森口は拍手の渦に誘われて再び登場し、「健やかに元気な姿でまたお会いしましょう!」と呼びかけ、40周年アニバーサリープロジェクトのグランドファイナルは幕を下ろした。

森口博子 40周年アニバーサリーツアー 第三章コンサート写真8

まだ聴きたい。もっと聴きたい。終わったばかりだけどもう聴きたい。森口博子のコンサートには常にそう思わせてくれる“何か”がある。特に今回はその熱量が強かったように感じられた。この日のコンサートは森口博子のキャリアにおいて、その歌声が時代に翻弄されることのない聴く者の心のシェルターであることを改めて証明した印象を受けた。

「夢には締め切りがない」という森口の哲学。ひたすらに前を向いて努力し歩みを積み重ねてきた者だからこそ放てる言葉だろう。ステージの灯が消えた後も、会場には心地よい余韻と、これから始まる“新章”への静かな高揚感が漂っていた。これからもその魂の調べを光る風に乗せ、我々の心の行く末を照らし続けてくれるに違いない。

テキスト:遠藤政樹
写真:高田真希子

Information

公演概要

森口博子 40周年アニバーサリーツアー 第三章 “一夜限りのStarry Symphony”(オーケストラ編)

日程:2026年8月14日(金)
会場:東京オペラシティ コンサートホール

セットリスト

1.10 YEARS AFTER(『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』エンディングテーマ)
2.銀色ドレス(『機動戦士Ζガンダム』挿入歌)
3.月の繭(『∀ガンダム』エンディングテーマ)
4.聖なる惑星 -Sanctuary-
5.水の星へ愛をこめて(『機動戦士Ζガンダム』オープニングテーマ)
6.ETERNAL DAYS ~あなたがいてよかった~
-ラデツキー行進曲(森口博子が指揮を担当)
7.哀 戦士(『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』主題歌)
8.FIND THE WAY(『機動戦士ガンダムSEED』エンディングテーマ)
9.遠い記憶(『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』エンディングテーマ)
10.FLYING IN THE SKY(『機動武闘伝Gガンダム』オープニングテーマ)
11.鳥籠の少年(「CRフィーバー機動戦士Ζガンダム」搭載曲)
12.めぐりあい(『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』主題歌)
13.真心ブーケ

アンコール
14.ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~(『機動戦士ガンダムF91』主題歌)

森口博子『ANISON COVERS 3』2026年12日16日リリース

森口博子『ANISON COVERS 3』初回限定盤JK
『ANISON COVERS 3』<初回限定盤>
▶CD + Blu-ray
▶イラストスリーブケース仕様
▶¥6,182+税 | KICS-94273

『ANISON COVERS 3』<通常盤>
▶CD ONLY
▶¥3,318+税 | KICS-4273

『ANISON COVERS 3』<KING RECORDS STORE 限定アクスタセット> ※受注生産
▶<初回限定盤>+ 森口博子 BIGサイズ アクリルスタンド(約1/5スケール)
▶¥10,000+税 | ECB-1936
▶申込URL https://store.kingrecords.co.jp/shop/g/gECB-1936/
▶申込期間 2026年8月14日(金)21:00~9月30日(水)23:59

森口博子

[Web site] https://www.mogeshan.net/

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