【全曲レビュー】スターチャイルド愛が爆発 angela初のカヴァーアルバム『スタチャまみれ?!』

ヴォーカルのatsukoとギター&アレンジのKATSUから成る音楽ユニット・angela。2003年のメジャーデビュー以来、アニソンシーンの最前線を走り続けてきた彼らが、スターチャイルドレコード発足45年の節目に自身初のカヴァーアルバム『スタチャまみれ?!』をリリースする。
長年スターチャイルドの作品とともに歩んできたangelaだからこそ表現できる“スタチャ愛”と深いリスペクトが込められた本作には、歴史を彩ってきた往年のアニメソングから、伝説的なアーティストとの時空を超えた共演、そしてセルフカヴァーまで全12曲が凝縮されている。
往年の名曲たちがangelaサウンドとして新たな命を吹き込まれた本作の全12曲をじっくりと紐解いていく。
M1「残酷な天使のテーゼ」
(テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』主題歌・新録)
かつて2004年にアメリカで開催された「Otakon 2004」のステージでも披露した経緯を持つ、スターチャイルドの歴史を象徴する不朽の名曲をカヴァー。原曲が持つアニソンポップスとしてのキャッチーな骨格を残しながらも、KATSUの手によって重層的なエレクトロニカの要素を融合させたスケール感あふれるアレンジへと昇華。冒頭の<少年よ 神話になれ>の一節から聴き手を一気に引き込むatsukoのヴォーカルは、原曲の迫力に決して負けない強靭な存在感を解き放つ。歌唱部のみならず間奏に深く響き渡る神秘的なコーラスワークも含め、冒頭から終盤まで隙のない荘厳な音世界を満喫できる1曲だ。
M2「輪舞-revolution」
(テレビアニメ『少女革命ウテナ』オープニング主題歌・新録)
原曲が持つ疾走感とドラマ性を巧みに捉えつつ、KATSUが情熱的なサウンドへと仕立て上げた大胆なラテンアレンジ。「不器用なI love you」でも魅せたangela流ラテンアプローチを全身で堪能できる仕上がりとなっており、跳ねるパーカッションと昂揚感を煽るブラスラインが、atsukoの熱量高い歌声と見事な相乗効果を生み出している。冒頭の<潔くカッコ良く生きて行こう…>というフレーズは、妥協なくアニソンシーンを突き進んできたangela自身の生き様とも重なるような力強い説得力を放つ。
M3「Give a reason」
(テレビアニメ『スレイヤーズNEXT』オープニングテーマ・新録)
<未来の自分へと Give a reason for life 届けたい>というフレーズから、angela節全開の力強いマーチ風展開を予測させつつ、イントロで変則的な転調とリズムアプローチを仕掛けてくるKATSU特有のアレンジの遊び心が秀逸な1曲。ロックのダイナミズムをベースに置くことで楽曲全体にエッジの効いた躍動感が加わっており、間奏で静かに流れるギターの繊細なアルペジオが鮮烈なアクセントとして残る。既存のアニソンの枠組みに捉われない、angelaのジャンルレスかつ多角的なサウンドデザイン能力が遺憾なく発揮されている。
M4「For フルーツバスケット 岡崎律子× atsuko Time-Crossing Session」
(テレビアニメ『フルーツバスケット』オープニングテーマ・新録)
岡崎律子氏のマスターデータに残された貴重な歌声トラックを使用し、atsukoの新録歌唱を重ね合わせることで完成した本アルバム屈指の特別トラック。スターチャイルドのレガシーとangelaによる初の共演であり、時代を超えて巡り会った奇跡の“デュエット”と言える。岡崎氏の包み込むような温かい歌声に対し、atsukoは美しく透き通るファルセットを極限まで活かした繊細な歌唱で応えており、時空を超えて溶け合う2人のハーモニーが聴く者の心を深く揺さぶる。
M5「七つの海よりキミの海」
(テレビアニメ『波打際のむろみさん』主題歌・新録)
冒頭から約50秒間にもわたって唸りを上げるテクニカルなスラップベースが強いインパクトを残す、原曲のハイテンション&カオスな世界観を継承したカヴァー。angelaが本来持ち合わせているコミカルなエンターテインメント性と原曲の相性の良さは言うまでもないが、バックで重厚に響く荘厳なコーラスワークによって不思議と壮大なスケール感が付与されている。原曲で印象的だったデスボイスフレーズ<むろみ! ここだ!>に対しては、ファルセット気味の歌唱とそれを追いかける合唱的アプローチで再構築。ライブ会場での熱狂的な一体感を自然と予感させる仕上がりだ。
M6「ヒカリ」
(テレビアニメ『いぬかみっ!』オープニングテーマ・新録)
堀江由衣氏へ提供した原曲が持つ切なくも疾走感のあるメロディを活かしつつ、重厚なデジタルサウンドを融合させることで、よりドラマチックな情景を描き出したアレンジ。間奏パートでは疾走感が一段と深まり、楽曲の持つエモーショナルな熱量を加速させる。サビにおいてatsukoが魅せる高音と低音の情感豊かな対比は、楽曲の切なさをより重厚に引き立てている。堀江氏のライブでは観客のコールや「振りコピ」で一体となる名曲だけに、11月開催の『angelaの「ミュージック・ワンダー★大サーカス2026〜スタチャまみれ?!〜」』のステージでどのような化学反応が起きるのか期待が高まる。
M7「アシンメトリー」
(テレビアニメ『K RETURN OF KINGS』オープニングテーマ・セルフカヴァー・新録)
堀江由衣氏への提供曲をセルフカヴァーした新録トラック。<怖い(怖くない) 辛い(辛くない)…>の象徴的なセリフパートでは、原曲へのリスペクトを込めて堀江氏のコーラス・掛け合いがフィーチャーされている。ポルカやケルト音楽を想起させる跳ねるような民族的リズムに、ピコピコとしたキラキラ感のあるシンセサイザーのシーケンス音を重ね合わせたKATSUの巧妙なトラックメイキングが、まるで童話やファンタジーの世界に迷い込んだかのようなダンサブルな音像を構築。ラスサビに向けて感情が加速し、圧倒的な熱量で畳みかける展開は圧巻だ。
M8「冷たい部屋、一人」
(テレビアニメ『K』エンディングテーマ・セルフカヴァー)
2014年にリリースされたangelaのシングル『Different colors』に収録されていた、小松未可子氏への提供曲のセルフカヴァー。これまでのパワフルな歌唱表現をあえて封印し、ファルセットを活かした透明感あふれる繊細なアプローチで、孤独感の漂うミディアムバラードに深い情感を注ぎ込んでいる。原曲が持つ静謐な雰囲気を尊重しつつも、終盤に向けてアンサンブルが壮大さを増していくにつれ、atsukoのヴォーカルにも徐々に熱が入っていく。ラスサビの伸びやかで力強い歌声が、楽曲の抱える切なさを一層鮮烈に浮き彫りにしている。
M9「キラキラ-go-round」
(劇場版『モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE-亜空の深淵-』主題歌・セルフカヴァー)
2014年に「angela Presents/中川翔子」名義でリリースされ、2015年のアルバム『ONE WAY』にも収録された名曲。華やかな金管楽器の音色が前面に出た躍動感あふれるブラス・ロック調サウンドや、キャッチーで熱量の高いアニソンらしい構成はそのままに、オリジナル版のポップでキュートなニュアンスとは一味異なるヴォーカルのアプローチを見せる。atsukoならではの深く芯のあるアルトボイスとダイナミックなビブラートが前面に押し出されており、コール&レスポンスの要素が凝縮された構成はライブ映え抜群だ。
M10「Sail away」
(劇場版『モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE-亜空の深淵-』挿入歌・セルフカヴァー)
小松未可子氏への提供曲であり、自らのアルバム『ONE WAY』でも披露された壮大なナンバー。静かなスローバラードとして幕を開けながら、2番以降で劇的な変貌を遂げ、スケール感あふれるアップテンポ・サウンドへと雪崩れ込んでいく。atsukoのディープな低音と感情を激しく揺さぶるビブラートにより、ヴォーカルが変化するだけで原曲が持っていた「宇宙へ旅立つ少女の青さと決意」が、「大人の圧倒的な説得力とドラマ性」を備えた楽曲へと変貌を遂げている点が見事である。
M11「YOU GET TO BURNING」
(テレビ東京系アニメ『機動戦艦ナデシコ』オープニングテーマ)
2005年発売のシングル「YOU GET TO BURNING」に収録されていた名カヴァー。原曲が持つ宇宙を彷彿とさせる躍動的なリズムや疾走感を維持しながらも、KATSUによるangelaならではの重厚な音の厚みとメリハリを効かせたサウンドへと昇華されている。atsukoのエッジを効かせたハーフボイスによる力強い歌唱が、楽曲全体に漂うシリアスで哀愁を帯びた90年代アニソン特有の世界観と見事な親和性を示しており、原曲への深い愛とリスペクトがストレートに伝わってくる。
M12「Dearest」
(東映配給映画『機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-』主題歌)
「YOU GET TO BURNING」シングルにカップリングとして収録されていた名カヴァー。原曲のエモーショナルなバラード調から一転、情熱的で哀愁漂う大胆なラテンアレンジへと再構築。さらに、atsukoの濃厚で粘り強い歌唱アプローチは、松澤由実氏が歌った透明感ある歌声とは真逆のベクトルへと振り切れている。『劇場版ナデシコ』が持つカタルシスや切なさを“熱い哀愁”として解釈したKATSUのアレンジセンスと、それを完璧に表現しきるatsukoの圧倒的な歌唱力が光る傑作だ。
名曲たちへの溢れんばかりのリスペクトをベースに、angelaならではの緻密なアレンジと唯一無二の歌唱表現が見事に結実した本アルバム。スターチャイルドの45年におよぶ歴史とレガシーを讃えつつ、アニソンシーンの現在地と未来を提示するメモリアルな名盤となっている。
11月には『angelaの「ミュージック・ワンダー★大サーカス2026〜スタチャまみれ?!〜」』の開催も控えている。音源だけで収まらない圧倒的な熱量とエンターテインメント性が真価を発揮するangelaのステージ。“大サーカス”ならではの興奮と圧倒的なパフォーマンスを、ぜひ直接肌で体感してほしい。
Information
angela カヴァーアルバム『スタチャまみれ?!』

発売日:2026年11月4日(水)
品番:KICS-4272
定価:3,960円(税込)
購入:https://store.kingrecords.co.jp/shop/g/gKICS-4272/
配信:https://angela-jpn.lnk.to/SCmamire
angelaの「ミュージック・ワンダー★大サーカス2026〜スタチャまみれ?!〜」
<日時>
【DAY1】2026年11月13日(金) 17:30開場/18:30開演
【DAY2】2026年11月14日(土) 14:30開場/15:30開演
<ゲスト>
【DAY1】 堀江由衣
【DAY2】 上坂すみれ
<会場>
大宮ソニックシティ 大ホール
<券種・チケット代>
・S席 ¥15,000(税込) ※1階前方エリア・非売品グッズ付き
・A席 ¥9,900(税込)
・A席 ファミリー割 大人¥9,900(税込)/子供¥5,500(税込)
※ファミリー割詳細は公式サイトをご確認ください。
<チケット一般発売中>
https://angela-fc.com/
