【全曲レビュー】エンタメだけではないangelaの多様な音楽性 ニューアルバム『Answer』

ヴォーカルのatsuko、ギター&アレンジのKATSUから成る音楽ユニット・angela。2003年のデビュー以降、特にアニソンシーンにおいて強烈な存在感を放ち続けており、国内外の様々なライブイベントへの出演など、デビュー23年目の現在でも精力的に活動を続けている。
そんなangelaの約2年ぶりとなる12枚目のアルバム『Answer』が10月8日にリリースされた。10月から放送中の最新アニメ『不器⽤な先輩。』のOPテーマも収録されたこのアルバムには、オリジナルの新曲からangelaのキャリアにとってなくてはならない『蒼穹のファフナー』の関連曲まで、バラエティに富んだ様々な楽曲が収録されている。現在のangelaの音楽を知るにはうってつけの1枚だ。
ここからはアルバム収録の全11曲をレビューしていく。エンタメ性の高いangelaの音楽をじっくりと見ていこう。
M1「不器⽤なI love you」
オフィスラブをテーマにしたアニメ『不器⽤な先輩。』のOPテーマとして書き下ろされた楽曲は、どこか懐かしい90’sな雰囲気のメロディラインが印象的なキャッチー&ポップなラブソングだ。恋愛に不慣れなヒロインの健気で不器用な心の内が描写された歌詞は、表情がコロコロ変わるatsukoの歌声を通すことでよりキュートさが増す。一方で、Dメロでは突如としてコミカルでリズミカルなコール&レスポンスパートが登場。ただのラブソングでは終わらない、ラブコメの“コメ“の部分もしっかり表現しているのはいかにもangelaらしい。
M2「Fly Alive」
疾走感と高揚感にあふれたangelaらしさ全開のアッパーチューン。ぢぇらっ子(※angelaファンの総称)たちを鼓舞するかのような熱い言葉で綴られており、随所に挿入されるコール&レスポンスの激しさも含め、angelaの新たなライブナンバーとなるのは間違いないだろう。この曲はパチンコ機『Pフィーバー⾰命機ヴァルヴレイヴ3』の搭載曲としての書き下ろし。サビラストの“撃てよ”という歌詞は、パチンコを“打つ“動作と掛けているのだろうか?
M3「命ノヒカリ」
Aメロ・Bメロで少し抑えめにしていた感情を、atsukoの力強いビブラートとともにサビで一気に爆発させるangela特有のカタルシスが気持ちいい1曲。こちらも『Pフィーバー⾰命機ヴァルヴレイヴ3』搭載曲となっていることもあって、“世界を暴く“や”ルーン“、”ハラキリ“といった作品に関連する言葉も多く見られる。シンセやキーボードの音色が多く使われるアレンジのためか、楽曲の激しさの割にどこか軽快さが感じられるのも面白い。
M4「正⾯突破 We are!」
2人の出身地・岡山県の方言を織り交ぜた、「OK! 岡山」に続くご当地ソング第2弾。シュート、ストライカー、アウェイといったサッカー用語が随所に見られるが、これは今シーズンのJリーグで旋風を巻き起こしている岡山県のサッカークラブ ファジアーノ岡山をイメージしていると思われる。atsukoのパワフルな歌声と、随所に表れるシンガロングを意識したコーラスパートは、選手だけでなくサポーターたちの闘志にも大きな火をつけてくれることだろう。
M5「晴れのちハレルヤ!」
劇場版『⼄⼥ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転⽣してしまった…』の主題歌として作られた、蒼井翔太との豪華なコラボ楽曲。歴代主題歌のコミカルで陽気な雰囲気はそのままに、蒼井翔太のソプラノボイスとビッグバンドジャズアレンジが加わったことで、祝福感と華やかさが更に強調された1曲となっている。モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」のマッシュアップや、蒼井翔太が歌ったTVアニメ版主題歌タイトルの引用など、小ネタも十分。作品の大団円な雰囲気を感じられるはずだ。
M6「Dear T」
共にステージを作り上げた大切な仲間との思い出を振り返った歌詞からは、タイトルにもある「T氏」がかけがえのない存在だったことが痛いほど伝わってくる。atsukoの歌声やアコースティックギターの音色など、楽曲から聴こえてくる音はどれも穏やか。喪失感を受け止めながらも前を向こうとするangelaの心の内がダイレクトに伝わってくるようだ。
M7「僕等の歌」
angelaの20周年の〆に書き下ろした楽曲であり、これまでの軌跡と未来への希望を歌った応援歌。「僕等の歌」というタイトルどおり、支えてくれるスタッフや応援してくれるファンなど、angelaの2人だけでなく、彼らを取り巻くすべての人とともに次のステージに行くのだという強い願いが込められている。楽曲のメッセージ性はシンプルだが、デビュー曲のタイトルや彼らの軌跡をなぞるような言葉が組み込まれているのも印象的だ。
M8「蒼穹の彼⽅」
『蒼穹のファフナー』シリーズのアンサーソングとして制作された1曲。激しく感情を揺さぶるシリアスな歴代ファフナーソングと比べると清々しく晴れやかな雰囲気に少々驚かされるが、20年間主題歌を担当したシリーズの完結を受けて作られたとなればそれも当然であろう。歴代楽曲や作品にまつわるフレーズを散りばめつつ、20年間『蒼穹のファフナー』を追いかけてきたファンを祝福するような、angelaにしか書けないメッセージが3分27秒の間ずっと鳴り響いている。アンサーソングとしてこれ以上相応しい楽曲があるだろうか。
M9「JUST COMMUNICATION」
3年前に発売したTWO-MIXのトリビュートアルバムに収録のカバー曲が今アルバムに収録。静と動のメリハリ、そして重低音とドラマチックさが強調されたangelaのアプローチとTWO-MIXのエレクトロなサウンドが違和感なく融合したアレンジとなっており、双方の魅力が押し出された理想的なカバー楽曲となっている。ライブでのTWO-MIXの成りすまし自己紹介は最早恒例。アルバムに収録されたことで、さらにその芸に磨きがかかるかも?
M10「Answer」
現在の2人から昔の2人に“今のangela”を教えているような、未来の無限の可能性を歌ったポジティブなナンバー。“⼤⼈になった「今」が全て悪いもんじゃない” “何度ゴールしたとしてもまだ旅は途中”といったフレーズの節々から発せられる説得力は、酸いも甘いも経験したangelaだからこそ生まれるのだろう。そして“変わる未来を 共に遊ぼう”というファンに向けたラストのメッセージにもグッとくる。「僕等の歌」と同じく、angelaの未来はみんなで作り上げていくのだ。
M11「angela体操」
アルバムのラストを飾るのは、angela初の体操曲。タイトルの字面も楽曲の内容もなかなか衝撃的ではあるが、ライブではぢぇらっ子への振付指導やコールなどの要求事項も多いだけに、その準備運動的な楽曲ができたのはむしろangelaなりの親切心なのかもしれない。全力でふざけながらも内容はいたって真面目なのも彼ららしい。
アルバム全体を振り返ってみると、ライブで盛り上がれるアッパーなナンバーから、驚きの体操楽曲まで、多種多様な音楽ジャンルが収録されているにもかかわらず、そのどれもがangelaらしさを内包しているのは、改めて不思議な感覚だ。angelaのエンターテイナーな部分はあくまでも一面でしかない。全力で聴く人を鼓舞し、全力でふざけ倒し、全力で説得力のある言葉をファンに届ける。そんなangelaだからこそ、このアルバムが成立したと言えるだろう。
10月からは2年ぶりとなるライブツアー『angela Live Tour 2025「Answer」』が全国8都市と中国2か所(北京・上海)で開催予定。中国での単独ライブは2023年以来約2年ぶりとなる。angelaの音楽の魅力はライブで何百倍にも膨れ上がる。熱く楽しいangelaのライブを是非とも生で体験してほしい。
Information
angela 12th アルバム 『Answer』
2025年10月8日(水)発売
【初回限定盤】 CD+M-CARD
品番: KICS-94216
価格:4,400円(税抜:4,000円)
【通常盤】 CDのみ
品番: KICS-4216
定価:3,300円(税抜:3,000円)
CD: https://lnk.to/angela_12thAL_Answer
配信:https://lnk.to/angela_Answer
<収録内容> ※全形態共通
1. 「不器用なI love you」(TVアニメ「不器用な先輩。」OPテーマ)新録
2. 「Fly Alive」(パチンコ機「Pフィーバー革命機ヴァルヴレイヴ3」搭載曲)
3. 「命ノヒカリ」(パチンコ機「Pフィーバー革命機ヴァルヴレイヴ3」搭載曲)
4. 「正面突破 We are!」新録
5. 「晴れのちハレルヤ!」(劇場版『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』主題歌)
6. 「Dear T」新録
7. 「僕等の歌」
8. 「蒼穹の彼方」(「蒼穹のファフナー」シリーズアンサーソング)
9. 「JUST COMMUNICATION」カバー曲
10. 「Answer」新録
11. 「angela体操」新録
<M-CARD> ※初回限定盤のみ
・「不器用なI love you」リリックビデオ
・12th アルバム収録曲カラオケ音源11曲
(M-CARDの絵柄は全4種からランダムで1種封入)