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河崎実×ひかる一平×直江喜一 鼎談インタビュー 映画『還暦高校生』、葉山ユリ「熟れた果実」主題歌決定のワケとは?

河崎実×ひかる一平×直江喜一

1972年にデビューしたキングレコード所属のアイドル・葉山ユリの楽曲「熟れた果実」(作詞:有馬三恵子、作曲・編曲:鈴木邦彦)が新作映画の主題歌に決定!! 本当に今は2025年なのだろうか? そもそも葉山ユリのことを知っている人はどれだけいるのか? しかし今は確かに2025年である。なぜならその映画は、かつて『3年B組金八先生』第2シリーズに出演して人気を博したひかる一平の44年ぶりの主演作だからだ。そして、「腐ったミカンの加藤」こと直江喜一と堂々スクリーンで共演する記念碑的な作品でもある。その映画は、令和の日本に蘇った熱血学園青春映画『還暦高校生』。監督・河崎実を挟んで、ひかる、加藤の3人に作品の見どころ、そして本作のムードを形成するルーツのひとつ、往年の学園青春ドラマへの想いを伺った。

それぞれの世代が憧れを抱く、昭和の学園青春ドラマ

――今回、この映画の公開に合わせて過去の青春学園ドラマの関連楽曲が配信開始となりました。俳優のお仕事をされる前からこういうドラマをご覧になっていましたか?

河崎実×ひかる一平×直江喜一

直江:僕は観てましたよ。僕がよく観ていたのは村野武範さんの『飛び出せ!青春』のイメージが強いかな。森田健作さんの『おれは男だ!』も。

ひかる:ホント? 中村雅俊さんの『われら青春!』は憶えてますけどね。

河崎:「青春学園シリーズ」のどのドラマを観ていたかだけで世代がわかっちゃう。僕は夏木陽介さん(『青春とはなんだ』)と竜雷太さん(『これが青春だ』『でっかい青春』)。『進め!青春』の浜畑賢吉さんもね。視聴率も良かったらしいし、みんなどれかは知ってるよね。そして、その世界観に欠かせないのは いずみたく の音楽なんですよ。

若い明日と貴様と俺これが青春だ進め青春

直江:いずみたく さんが書いた曲を聴くと、懐かしくって涙が出てきちゃうもん。ああいう熱血ドラマって高校を舞台にしていることが多かったでしょ。僕は当時まだ小学校低学年くらいだったけど、子どもながらにあの世界には憧れましたよ。

ひかる:そうだね。「どんな部活に入るのかな? サッカーかな、ラグビーかな……」って。「いつか僕もドラマに生徒の役で出てみたいな」っていう夢も見てました。子どもの頃に観ていたイメージってすごいですよ。その後、中村雅俊さんと共演させていただいたときに、やっぱり「あ、先生だ……!」って感動しましたからね。

直江:僕のところにも若い子たちがいまだに「金八先生に出てた人ですか?」と言って来てくれるんだ。写真とサインを頼まれて、うちのカミさんが「こんなおじいちゃんでいいんですか?」って聞き返したくらい。

河崎実×ひかる一平×直江喜一

河崎:まさに”永遠の腐ったミカン”。

――腐っているのに永遠ってすごすぎます。

ひかる:最近、大学で演劇の講師をさせていただいているんですが、金八先生のことを思い出すんです。黒板にチョークで字を書いてる先生の背中を見ていなかったら、こうして人を教える仕事はしていなかったかもしれない。

令和の時代に蘇った「僕の理想の学校」

――学園ドラマに憧れを抱き、実際に出演もされていたお2人ですが、完成した『還暦高校生』をご覧になっての感想、いかがでしたか。

ひかる:なんでもありで面白いと言いますか、いろんな時代のドラマの要素をてんこ盛りにしていて、観ていて本当に懐かしかったですね。「こういうのどっかで観たことあるぞ?」っていうのが立て続けに出てきますのでね。休む間もなく、あっという間でした。

河崎実×ひかる一平×直江喜一

直江:テンポがすごくいい。現場で撮影をするテンポもかなり早かったけど、出来上がった作品もそうだった。

ひかる:展開がね、予想できないです。なんじゃこりゃ!という展開がクライマックスに……それはちょっと内緒ですけどね。意外と言っては監督に失礼かもしれないけれど、けっこうグッときちゃいました。

河崎:僕は学園ドラマが昔から超大好きで、人生の応援歌だと思っているんです。今回の映画で描きたかったのは、「僕の理想の学校」なんですよ。カッコいい先生がいて、綺麗な先生がいて、みんなが相談に乗ってくれて、スポーツも恋愛もなんでもあり。そしてとにかく、すぐぶん殴る(笑)。生徒が先生を殴り、先生が生徒を殴る。

――殴られるのは嫌ですよ! でも、たしかにこの映画には令和の時代にはありえないムードがあったと思います。

河崎:そう。そのムードは完全に消えてなくなってしまった。だからそれを蘇らせたかったんです。

――映画の予告編にも出てきますが、直江さんはまた学校に立てこもっていましたね。

直江:ええ、それは昔一度やったことがありますから(笑)。演じているほうも楽しかったですよ。ハジメ(ひかる)が言ったように、僕らの世代からしたら「あー、これこれ」っていうネタがいっぱい隠れていますから。

ひかる:僕は現役をやめて裏方になってからは全然役者の仕事をしていなかったから、マサル(直江)だけが頼りで。撮影に入る前から自主練に付き合ってもらってました。

――お2人とも、今でも昔の役の名前で呼び合ってるんですね。感動です!

ひかる:年齢的にはちょっとだけ先輩なんですけど、やっぱりマサルって呼んじゃいますね。『金八先生』に出ていたのはたった半年間でしたけど、やっぱりすごく密度が濃かった。いまだに僕らはハジメとマサルです。

河崎実×ひかる一平×直江喜一

知られざる名曲・葉山ユリ「熟れた果実」が主題歌に大抜擢!

――いま、監督が手にお持ちのシングル盤は今回主題歌に採用された葉山ユリさんの「熟れた果実」(作詞:有馬三恵子、作曲・編曲:鈴木邦彦)のレコードですね。「大人同志」という曲のなんとB面に入っている曲なんですけども。おそらくこの曲がここまで注目されたのは発売以来初めて……かもしれません。みなさんはご存知でしたか?

河崎:実は聴いたことがなかった。新しい曲を作るんじゃなくて、すでにある曲から映画に合うものがあったらいいなと思って探していた時に見つかったんですよ。

河崎実×ひかる一平×直江喜一 河崎実×ひかる一平×直江喜一

直江:いやぁ、これは知らなかったよねぇ……。

ひかる:でもこの映画にはすごく合ってる。撮影中も「主題歌はどうしよう?」って話、してたんですよ。「僕はいいからマサルが歌えよ」なんて言って(笑)。

直江:ハジメが歌ってもよかったんだよ(笑)。

河崎:このシャラランっていう女性コーラスがさわやかで良いよね。このレコードが出た1972年はフォークの時代だし、A面の「大人同志」は曲調がちょっと暗い。映画に使うなら断然B面のこっちだね。「おんなの娘はみんな恋がすき」っていう歌詞がすごく清純で学園ものらしい。

――10年くらい前に一度CD化されているんですが、歌謡曲のファンにもなかなか知られていない曲だと思います。ちょっとこの映画の展開を予想してるようにも聴こえます。

河崎:そういうところも含めてこの曲に決めました。これ以外なかったね。

直江:知らない人は「最近の人が昭和っぽく作ったのかな」って思うんじゃない?

ひかる:僕もそう思った。この映画の初号の試写で初めてこの曲を聴いたんですが、世界観というか、すべてにおいてピッタリでしたね。

――撮影中にキャストのみなさんと「主題歌どうする?」なんてお話ができるなんて、あたたかい現場ですね。
ひかる:いまはこうして芸能事務所を経営していて、みんなで舞台公演を作ったりするので、今回は僕が主演俳優であるということ以外は、普段の自分とあまり変わらない環境でお仕事ができたと思います。どういうふうに現場でお金が回っていて、みんながそれぞれ楽しく笑顔でいられるためにはどうしたらいいかって、いつも一生懸命考えているんです。

直江:僕らみたいなジジイじゃなくて、ヤングたちにも映画館に来てくれたらいいよね。
ひかる:当時の人じゃないとわからないネタがたくさんあるけど、ついてこれるかなぁ?(笑)

河崎:令和の時代に失われたものがここに全部ある。俺たちについてこい!って感じですよ。

河崎実×ひかる一平×直江喜一
Text:真鍋新一
Photo:Ryoma Shomura

Information

大人同志
◾️『還暦高校生』主題歌「熟れた果実」収録CDが販売開始
https://x.gd/bGuMr

◾️葉山ユリ、青春学園シリーズ関連作品がサブスク/ダウンロード配信開始!
https://news.kingrecords.co.jp/2025/05/39060/

河崎実 選曲プレイリスト
◾️河崎実 監督 選曲プレイリスト『THE SOUNDS of YOUTH selected by Minoru Kawasaki』
https://lnk.to/TSoY_MK

◾️映画『還暦高校生』
https://kanreki-movie.com/

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