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市川由紀乃 約5年ぶりとなる東京国際フォーラムで21曲を熱唱。「皆様とともに新たなステージへ」

市川由紀乃 約5年ぶりとなる東京国際フォーラムで21曲を熱唱。「皆様とともに新たなステージへ」

歌手の市川由紀乃が6日、『市川由紀乃リサイタル2025「新章」』を東京・国際フォーラムホールCで開催した。
「新章」というタイトルは、“新たな歌手人生の始まりを感じていただきたい”という思いを込め、市川自身が考えた。歌唱は勿論、ナレーションやコーラスまで全てを市川が担当し、今回披露されるカバー曲は11曲中10曲が初披露ということからも、このリサイタルへの並みならぬ意気込みを感じることができる。

冒頭、袴姿に襷をかけ、凛とした表情で全身を使い大筆を振るう市川の映像に、歌人生を歩んでゆく決意と、今までの感謝を伝える市川の語りが重なる。映像が途切れ紗幕が上がると、全貌を現したのは巨大な掛け軸。そこには文字からも臨場感が伝わるような堂々たる「新章」の文字が市川の筆で描かれていた。
そして淡い薄紅色の地に、金箔が施された振袖姿の市川が登場すると、会場で待ち望んでいたファンから大きな拍手と歓声で迎えられ、由紀乃コールが響く「命咲かせて」からリサイタルは幕を開けた。自ら描いた「新章」のタイトルを背に、オリジナル曲「うたかたの女」「花わずらい」を歌唱すると、「皆様こんばんは!市川由紀乃です。本日は<市川由紀乃リサイタル2025~新章~>にお越しいただき誠にありがとうございます!」と元気いっぱいに挨拶し、「心から感謝申し上げます。こうして舞台に立たせていただいていることが奇跡のように思います。」と昨年の闘病生活を振りかえる。タイトルの新章に込められた思いを「新たな歌手人生の決意を込めて付けさせていただきました」と伝えると阿久悠の未発表作品「年の瀬あじさい心中」を披露。
昭和の歌謡史にその名を刻み、市川が大きなリスペクトを寄せるちあきなおみの紹介が、市川のナレーションで流れると、会場にはふわりと白檀の香りが漂った。これは当日会場でもミニボトルが販売され、
ファンにも好評だった台湾の老舗フレグランスブランド、明星花露水(ミンシンファールースェ)とのコラボによるもの。着物姿から一転、ディープグリーンの豊かなドレープが印象的なロングドレスで登場すると、「かもめの街」から始まり、タイプの違う名曲を3曲を続けて披露。見事な表現力でちあきなおみの歌世界を披露。特に「夜へ急ぐ人」のクライマックスは伸びの良い高音で圧倒した。
そして、新境地に挑戦したというショート歌謡ミュージカル、<片手にピストル、心に花束を・・・>のコーナーへ。沢田研二の「サムライ」の世界観を軸に構成されたショートミュージカルだ。スパンコールが散りばめられたタキシード姿の市川が登場し、中森明菜の「TATTOO」で物語がスタート。マフィアの抗争に巻き込まれた二人を、男女の俳優が時に切なく時にコミカルに演じ、観客を引き込んでゆく。多くのカバーでも知られる、真島昌利「アンダルシアに憧れて」、中森明菜「十戒」、ミュージカルのフィナーレは沢田研二「サムライ」で締めくくり、第一部は幕を閉じた。

2部の冒頭は、市川のリサイタルでは恒例となったトラック野郎「ゆき五郎」が手づくりのデコトラと共に「一番星ブルース」の歌唱で登場。市川由紀乃の大ファンという設定の気っ風の良いトラック運転手に扮した市川が、演技とともに「もう一度逢いたい」(八代亜紀)など演歌の名曲をカバーし、市川が入院していた時、元気づけられたという矢沢永吉「止まらないHa~Ha」では、タオルを振り会場一体となって盛り上がった。
途中バンドのメンバー紹介に続く「由紀乃音頭体操」では、座ってもできるストレッチで観客をほぐし、市川らしい心遣いも見られた。
そしていよいよリサイタル終盤、市川自身が最大の見どころという<恋慕譚「北の愛獄」(れんぼたん きたのあいごく)>へ。この日のために全てアレンジを変えたオリジナル3曲でこの物語に挑む。
場面は北国の古民家の中、市川の語りで悲しくも熱い恋の物語に引き込まれる。虚飾を排した雪のような生成りの着物で歌唱された「心かさねて」「さいはて海峡」は、アコースティックのシンプルな編成だけに、市川の高い歌唱力と表現力が際立つ。そして前述の衣装とは対象的な艶やかな漆黒の着物ドレスに舞台上で様変わりした市川が、「雪恋華」を舞い落ちる雪の中で熱唱し、母一人子一人で寒村に育った娘が恋をおぼえ、心を燃やしながら堕ちてゆく悲恋の様を見事に演じきる様子は、鬼気迫るものさえ感じる迫力だ。

幕間では市川がメイクで様々なキャラクターに扮して遊ぶ、茶目っ気たっぷりのVTRが流れ、ファンの笑いを誘った。再び幕が上がると、錆赤色の紅型(びんがた)にレースの手袋というモダンな出で立ちで再登場。最新曲「朧」のカップリング「オリガミ」を披露し、MCでは「昨年、いろいろな経験を重ね、また再び歌うことの道を神様が作ってくださいました。歌を歌わせていただく活動と共に、自分と同じ病と闘う方々の背中を押して差し上げることができたら」と話すと、市川が今年から募金活動をして寄付を届けている、認定NPO法人マギーズ東京を紹介。そして「私の一番の憧れが、そばにいる母です。どんなに悔しい時も辛いときも母は涙を見せませんでした。」と涙声になる市川に、客席からは「泣いたらあかん!」の声が。「これからの市川由紀乃、さらに精進してまいりますのでどうぞ応援の程、宜しくお願いいたします!」と声を震わせ、しかし力強く思いを伝えると、万感の思いを込めた最新曲「朧」で最後の歌唱を締めくくった。

カーテンコールではバンドのメンバーや俳優と並び、精一杯の感謝を伝え深々と挨拶。会場との一体感が感じられる温かな雰囲気で、万来の拍手と歓声が鳴り響く中、幕をおろした。エンターテイメントとしての完成度を高め、バリエーション豊かにファンを楽しませることにとことん拘った姿勢に、アーティスト市川由紀乃としてのキャリアと奥行きの深さを感じることができるリサイタルとなった。

市川由紀乃リサイタル2025「新章」リサイタルの様子写真01
市川由紀乃リサイタル2025「新章」リサイタルの様子写真02
市川由紀乃リサイタル2025「新章」リサイタルの様子写真03
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市川由紀乃リサイタル2025「新章」リサイタルの様子写真07
市川由紀乃リサイタル2025「新章」リサイタルの様子写真07

◆市川由紀乃レーベルサイト
https://www.kingrecords.co.jp/cs/artist/artist.aspx?artist=13522

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