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【キングレコード × 和モノA to Z】 吉沢dynamite.jp選盤&ディスクレビュー前篇

今夏~秋にかけて、キングレコードの貴重な’70~’90年代国内ポップス作品を擁する2大レーベル「POP SHOP」、「CRYSTAL BIRD」の膨大な作品のサブスク、ダウンロード配信への蔵出しが惜しみなく続いている。
2015年発刊以来、リスナー、DJに絶大な信頼を得てシーンの活性化に貢献してきた和モノバイブルともいえるベストセラー中のディスクガイド本『和モノA to Z』の監修者、執筆者そしてシーンをけん引するDJである”吉沢dynamite.jp”。
その吉沢dynamite.jpがこれらレーベル作品からかねてよりフェイバリットとしてDJ現場でもプレイしている作品をピックアップしレビューを寄稿してもらうシリーズの前半篇である。
ピックアップされている諸作品はいずれも当時の息吹を伝えるもので、現代のDJはもとより国内外のWhat’s new?リスナーを虜にする作品ぞろいである。
ぜひ、作品レビューを読んでそれぞれのリンクからたくさんの楽曲を楽しんでいただきたい。そこには新しい音楽との邂逅が待っているはずである。


井田リエ & 42nd STREET『スター』(1980作)


前作『Street Talk』収録の「ひらめきLOVE」は名曲「Feel Like Makin’ Love」の日本語カバーであったが、それを踏襲したようなオリジナル曲「パーティーを抜け出して」が白眉でしょう!つのだ☆ひろの打ってるドラムがファンキーなシングル曲「スター」、ミディアム・グルーヴ「Victory or Defeat」の両曲はつのだ氏らしいソウルフルな楽曲。そしてド頭のブラスから引き込まれるアーバンなボサ調シティポップ「South Big Wave」も好き過ぎる!レディ・ソウル名盤。
lnk.to/rieida_star

沢田久美子『LOVE ME OR LEAVE ME』(1979作)

アルバム通して竹田和夫率いるクリエーションが演奏をバックアップ。断然オススメはシェリル・リン「Got To Be Real」に代表されるダンクラ好きには重宝される魔法のリズム・パターン”スウェイ・ビート”を取り入れた「Your Love’s Away」!ジャジーなメロウ「Imagination」も良い。その他は英語詞で歌われるジャム・セッション風なファンキーロッキン・ディスコ「I Feel」も中々。
lnk.to/kumikosawada_loveme

小田陽子『SHADOW & ME (1983年作)

全曲チト河内がプロデュース&アレンジを担当、MARIAH関連のミュージシャンが数名参加した2nd。オススメ「Killing Me Tonight」はこの時代のアニメのEDテーマになっていても良さそうな土方隆行のギターリフが印象的なアダルトなアーバンAORな好楽曲◎。因みに「Shadow & Me」はシングルとは別のアルバム・バージョン。
lnk.to/youkooda_shadowme

JOY『IT’S THE SAME OLD SONG (1980年作)

”上田 力”この方のクレジットがあると中身が気になるのがDJごころ。そんな彼が全曲編曲したのがこちらだが、ジャケからの想像程は黒くファンキーな演奏では無いのだが、なかでもスティーヴィー・ワンダーが原曲である「The Song Of Joy」(原題”My Cherie Amour”)や「For Once In My Life」の日本語カバーが好みだが、特に後者がオススメ!欲を言わせて頂くなら「A Place In The Sun」もメドレーの中に加えず全てスティーヴィーの日本語カバー・アルバムにして欲しかった。
lnk.to/joy_itsthesameoldsong

坪田直子『ピーターソンの鳥 (1976年作)

劇団東京キッドブラザーズ出身の看板女優による同名タイトルの映画サントラ。
トータルでBPM遅めの比較的しっとりとしたアルバムではあるが、なかでも和モノDJに人気の柳ジョージ「祭りばやしがきこえる」系の浮遊感のあるドープ・トラック「命あるものは樹から落ちた」は時折入るコーラスとスライド・ギターが心地よい和モノ・レアグルーヴ!
lnk.to/ABoP_NT

下村明彦『サウンド・エッセイ』(1979年作)

YAMAHAポプコン出身のシンガーソングライターの2nd。エレピが転がるライトメロウ・グルーヴ「北野の恋のおはなし」。オススメはフルートがジャジーにサポートするブラジリアン・テイストな「あなたの車」。またそれをもう少し歌謡寄りにした「黒のサンバ」もナイス。因みにバックは最盛期のピンクレディーや上田力とパワーステーションのドラマーでもあった宗台春男率いるHARUO SHUDAI & Q-K Band(宗台春男&休憩バンド)。長谷川きよし好きにもオススメ!
lnk.to/SoundEssay

小林啓子『ちょっと気分をかえて (1977年作)

高橋幸宏のドラムブレイクから始まる加藤和彦・作曲「気分を出してもう一度」は加藤氏本人含め何ヴァージョンか存在するが、個人的には今井裕のシンセがドリーミンに誘うこちらのアレンジが一番カッコいいと思う!同じく加藤によるノスタルジックなライトメロウ「その人は誰…」もナイス。素敵なジャケット・デザインに写る男性は当時の旦那であり、このアルバムのプロデューサーでもある高橋信之。
lnk.to/KeikoKobayashi_CKwK

小林啓子『比叡おろし』(7”) (1970年作)


NHK-TV ”ステージ101”の第一期生だったフォーク歌手。”ステージ101”のオリジナルソングであるB「恋人中心世界」はフィフス・ディメンション「Up,Up And Away」または平山みき「いつか何処かで」と相性良しな中村八大 作曲・編曲のスキャット入りボサ/ソフト・ロック。
lnk.to/KeikoKobayashi_3

渋谷祐子『MADE IN JAPAN (1980年作)

瀬尾一三アレンジによる3rd。ファンキー・ディスコ歌謡「悪魔街のロンド」、爽やかなAOR「5AMはバイオレット・ピンクで」、なかでもDJ視点から最も注目はスラップ・ベースから始まりサビは程良い”スウェイビート”なディスコ/ブギーファンク・チューン「都会の絵本」!メロも良いのに時代だったのだろうか?これがシングル化されていないのが残念、、、。シティポップ再評価を代表するアルバムの中の一つ。lnk.to/MADE_IN_JAPAN

渋谷祐子『POP LADY II』(1979年作)

シングル・カットされたボサ歌謡 Jean-Jacques Debout「C’est Un Dernier Nuage 」の日本語カヴァー「今夜だけ恋人」も良いが、そのB面収録の4小節のラテン・パーカッション・ブレイクから始まる「自由になりましょう」が◎。他は後半にブレイクもある4つ打ちミッド・ディスコ「フライング・ジェット」など。
lnk.to/POPLADY2

BUZZ『君を迎えに来たよ』(1976年作)

小出博志と東郷昌和によるフォークデュオをサディスティックスの面々がサポートした3rdアルバム。裏打ちピアノが入ったレゲエ風味なシティポップ「雨の日には」が特にお気に入りだが、冒頭ドラムブレイクのファンキーなシティポップ「チャラチャラ」もオススメ。
lnk.to/BUZZ_GMFB

BUZZ『レクヰエム・ザ・シティ』(1974年作)

高中正義以外のサディスティック・ミカ・バンドが参加した2nd。サンバとレゲエを混ぜたような「TOKYOサンバ」も良いが、何と言っても「ガラス窓」!小原礼のうねるベースと1976年作品とは思えない洗練されたアレンジは私見だがフィッシュマンズを彷彿させるタイムレスな楽曲だと思う。他にもドラムが打ってる黄昏メロウ「まちのうた」、ラグタイム/オールドタイミーなファンキー曲「ラヴソディTOKYO」。前述した全てのアレンジはあの高橋幸宏の兄であり、歌手・小林啓子の元旦那でもある高橋信之!何気に名盤。
lnk.to/BUZZ_RTC

選盤&ディスクレビュー:吉沢 Dynamite.jp

DJ 吉沢dynamite. jp(ヨシザワ ダイナマイト ドット ジェイピー)
東京生まれ。94~02年迄ファンク/ロック・バンドTHEATRE BROOKのメンバー(現在サポート)としてDJを担当。全国各地の様々なパーティーやフェスに招致されている。2000年「和田アキ子 / 古い日記」のリミックスを皮切りに、2015年にリットーミュージックより監修と執筆をした『和モノ A to Z -Japanese Groove Disc Guide-』はディスクガイドとしては異例の売上を記録し、海外のマニアにも飛び火している本書は今年6月に3度目の重版がリリース。各レコード会社からのコンピレーションの監修やアナログ再発、リエディットも行う近年の”和モノ・ブーム”を牽引するトップDJの一人である。そして2020年9月フランスの180Gレーベルよりリリースされた和モノ・コンピレーション・シリーズが海外でも局地的に話題となり、2022年8月にはジャイルス・ピーターソンのネット・ラジオ”Worldwide FM”の2時間の和モノ特集にてDJミックスを披露。
『既存の曲をそのままプレイするに飽き足らず、スクラッチやサンプラーを多用したトリックプレイに時にマイク・パフォーマンスを交えた独創的なDJスタイル!』
https://www.dynamite-jp.com/

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